
『ファイナル・プラン』
監督・プロデューサー・脚本/マーク・ウィリアムズ
出演/リーアム・ニーソン、ケイト・ウォルシュ、ジェフリー・ドノヴァン、ジェイ・コートニー、アンソニー・ラモス、ロバート・パトリック
配給/ハピネットファントム・スタジオ
自分の理解力の問題だと思うのですが、映画を見ていて頭が混乱することがままあります。なので、パンフレットでストーリーを一読してから見るのが習慣。本作もそうして臨んだのですが、その必要もなかったくらい分かりやすかった!
全米各地の銀行の金庫を破ってきた爆破強盗カーターが主人公。熟年愛を全うするために罪を償い、人生をやり直したいと自首するものの、FBIの悪徳捜査官の罠にハメられます。そして大切な恋人アニーまで危害が加えられるに至って、復讐を開始するリベンジ・アクション。
なぜ、数々の銀行を襲って大金を奪ってきたのか。いつどこで、爆発物を扱う高度な技術を習得したのか。そうした諸事情や現在の心境などを、橋田壽賀子のドラマ並みに主人公のセリフとしてきっちり説明してくれるので、我々見る側は推察したり行間を読んだりする必要なく、全く迷うことなしに映画の終着点に導いてもらえます。最近、やたらと時空が転換したり、解釈に含みをもたせた映画が多い中、ある意味、どなたでも安心して見られる貴重な作品だと思いました。
原題“Honest Thief”より邦題の勝ち
復讐ものはもともと感情移入しやすいジャンルですが、公的機関での汚職事件が連発している昨今、怒りの素地が我々の気持ちの中にあるので、より一層主人公を応援したい気持ちになるのかもしれません。
また、「この映画のテーマは、人生のやり直しと贖罪だ」と監督が語っているように、本作はお互いの過去を受け入れ、乗り越えて、最後の恋を貫くというラブストーリーでもあります。
事前に読んだストーリーで、「大学院で学びながら働く女性と恋に落ちる」とあったので、年甲斐もなくどんな若い子に岡惚れするのかと思っていたら、貸倉庫の管理人の中年女性だったので「この人に、そんな!?」と少々驚きました。彼女とどのように愛を育んでいったのかは端折られ、いきなり「そして1年後」になるのは、本筋のリベンジとは関係ないからでしょう。
さて、ファイナル・プランは邦題で、原題は〝Honest Thief(正直な泥棒)〟。これは邦題の勝ちですよね。
自分にとっての「ファイナル・プラン」とは何かと考えたら、身も蓋もないようですが終活以外、考えられません。今は、ある雑誌記事で見た「1000項目捨て」を、年内期限で実践中でして、例えば服なら1項目と勘定します。ノートに記録しながら処分してすでに99項目まできましたが、家の中は一向にスッキリしません。100くらいじゃダメなんだ…と、モノが溢れる我が家を見回し、ため息つく今日この頃です。
やくみつる
漫画家。新聞・雑誌に数多くの連載を持つ他、TV等のコメンテーターとしてもマルチに活躍。
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