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阪神タイガース“史上最強”のハズが…後半戦大失速の悪夢シナリオ

甲子園球場
甲子園球場(C)週刊実話Web

首位陥落の危機――。矢野阪神が宿敵巨人の影におびえだしたのは、交流戦を終えてからのことだ。一時は「8」あった巨人とのゲーム差が、7月7日時点で「1.5」。トラは今季最大のピンチを迎えている。

「7月3日の試合前には、ゲーム差が1.5だったにもかかわらず、阪神が敗れて巨人が勝てば首位交代という〝珍事発生〟となるところでした。これは巨人の引き分け数が多いからで、この日の首位交代は何とか免れたものの、相変わらず厳しい展開が続いています」(在阪記者)

交流戦明けの失速には、いくつか理由がある。最大の要因は、黄金ルーキー・佐藤輝明の不振だ。

「7月2日、矢野燿大監督はついに佐藤をスタメンから外しました。4月4日以来のことです」(同)

スタメンに復帰した翌3日は久々の猛打賞と気を吐いたが、7月1日までの直近7試合の成績は25打数2安打1打点。「佐藤が打つと盛り上がる」ムードメーカーの役割も果たしていただけに、佐藤の成績がチームの成績に反映されたと言えるかもしれない。

「主力選手が揃って不振に陥ったのも痛かった。大山悠輔、J・サンズ、中野拓夢らが好機で凡退を繰り返しました」(ベテラン記者)

奇しくも、首位陥落の危機に陥った日、阪神はソフトバンクとの交換トレードも発表している。先発、リリーフの両方が務まる二保旭投手を獲得したのだ。その背景で、こんな声も聞かれた。

「矢野監督は、放出した中谷将大外野手のことを気遣う発言をしていたそうです。自身が中日を放出され、阪神にやってきたとき、悔しさをバネにしたとか。矢野監督の優しさもありますが、阪神は交換トレードを成立させるとき、編成以外の有力者にも連絡を取らなければなりません。中谷をかわいがってきた人たちへの配慮です」(球界関係者)

トレード交渉には必ず藤浪晋太郎の名前が…

そうまでして投手をシーズン途中で補強したのは、周囲が思う以上に「追い詰められている」からだろう。

「矢野監督にとって最もこたえた敗戦は、1日のヤクルト戦です。守護神のR・スアレスで試合を落としました。スアレスの救援失敗は今季初。最も頼りにしていたクローザーが4失点とは、3連投がたたったのかも」(前出・在阪記者)

同点の場面で投入した。と言うより、投入せざるを得なかった。リリーフ陣全体が〝お疲れモード〟に入っており、ゼロに抑えてくれるリリーバーも他に見当たらなかったのだ。

「藤浪晋太郎、齋藤友貴哉、及川雅貴など、本来は先発型の投手をリリーフに配置換えしています」(同)

後半戦では、「二保-岩崎優-スアレス」の新継投策を確立させたいという。だが、ここで問題が…。

「藤浪を先発に戻すのかというと、そうではないみたいで、矢野監督は後半戦の主軸として復帰まで時間の問題となっている左腕・高橋遥人を使っていくようです。西勇輝、青柳晃洋、伊藤将司、R・アルカンタラ、秋山拓巳、J・ガンケルもいます」(ベテラン記者)

藤浪は「先発復帰の名目」で、二軍再調整となるという。また、トレード期限が7月末まで延長されたためか、阪神がらみのトレード交渉には必ず藤浪の名前が出るという話も。他球団は「環境を変えてやれば再生できる」と見ているようだ。

また、中谷放出に続く「第2弾」を予感させるような情報も駆け巡っていた。

「東京五輪を戦う侍ジャパンに選出された青柳が心配です。青柳は右打者の外角にスライダーを投げ、打ち損じを誘うスタイル。それが功を奏していましたが、『リーチの長い外国人選手は届く』と懸念されています。千葉ロッテで活躍した渡辺俊介氏ほど変則ではないし、東京五輪でメッタ打ちにされるんじゃないかと…」(前出・球界関係者)

首位争いをしていても“お家騒動”はお約束

青柳を心配するプロ野球解説者は少なくない。試合前、矢野監督は「大丈夫か?」と心配する声を直接聞かされる場面もある。

そういうときの矢野監督は眉間に深いシワを寄せ、「ううん…」と唸るだけ。侍ジャパンの稲葉篤紀監督に青柳を推薦したのは、他ならぬ矢野監督だが、引っ込みがつかなくなってしまったのかもしれない。

「若い及川を先発にまわすかもしれません。藤浪に興味を示す球団があれば、リリーフタイプの投手をさらに補強してくるかも」(同)

チーム全体が下降気味の中、それをカバーしてくれると目されていたのが新助っ人外国人のメル・ロハス・ジュニアだったが…。

首位陥落の危機にあった2日、矢野監督はロハスを昇格とともにスタメン出場させたが、ヒット1本だけ。二軍では絶好調だった。二軍戦では状態を上げていたが、一軍クラスのピッチャーとなると打てないようだ。

「サンズと交代でスタメン出場する試合もありましたが、本当は佐藤を休ませてやりたいんです。プロ1年目で気苦労も多いはず。その疲れが取れたら、4番定着と聞いていますが」(ベテラン記者)

サンズ、ロハスがともにダメならば今月40歳になるベテラン・糸井嘉男もいるが、その名前は聞こえてこない。鳥谷敬、福留孝介に次いで3年連続の「ベテラン切り」もウワサされており、首位を明け渡すことになれば、〝肩叩き〟は中堅クラスにも及ぶとされている。

失速と同時に始まったドタバタ劇――。阪神は首位争いをしていても「お家騒動」は付いて回るようだ。

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