上位陣に顔を出すこともなく、かといって最後方に沈むこともなく、言い得て妙の「下位低迷」――。そういえば、今季は球団創設85周年のメモリアルイヤーだった中日ドラゴンズだが、誰もその件に触れてこない。この〝終戦感〟は、オフの監督人事にも影響してきそうだ。
「与田剛監督は3年契約の3年目。まず続投はないでしょう」(地元メディア記者)
今春キャンプで有力OBの立浪和義氏が臨時コーチとして招かれ、根尾昂など期待の若手の打撃指導にあたっていた。
立浪氏をよく思っていなかった経営陣も退き、「そろそろ…」なんて声も多く囁かれていた。しかし、今季の低迷により、その既定路線まで倒壊寸前のようだ。
「敗因は『打てない』に尽きます。立浪氏に指導されて頭角を現した若手がいますか? レジェンドに憧れ、尊敬の念も抱く若手は少なくありませんが…」(同)
急浮上してきたOBもいる。山本昌氏や山﨑武司氏たちだ。
「阪神の臨時コーチを務めたことで、山本氏の評価が一気に高まりました。藤浪晋太郎に立ち直るきっかけを与え、他のトラ投手陣も厚い信頼を寄せています。解説者になった当初、シアトル・マリナーズの菊池雄星にスクリューボールの握り方についてアドバイスし、それが今日の飛躍につながりました」(球界関係者)
次の監督はレジェンドよりも実務型
なにせ、〝勉強の量〟が違う。阪神の臨時コーチを受けるにあたり、阪神投手陣全員の映像をチェックし、誰にどんな助言をすべきか、どんな言葉で的確に伝えるかを予習していたそうだ。
「指導者願望が強く、現役の晩年から勉強していました。中日が声を掛けなければ、阪神の正式なコーチになってしまいます」(同)
しかし、チーム再建で最も力を入れなければならないのは、打撃力の強化。故・野村克也氏の下で学んだ山﨑氏は地元テレビ局の二軍戦の解説を務めており、若手情報にはかなり詳しい。
「オールスター前後で内々に次期監督の絞り込みに入りますが、無様なシーズンを送るだけに、立浪氏でスンナリ決まることはなさそう」(前出・地元記者)
7月3日のヤクルト戦でのことだ。小川泰弘に完投勝利を許したが、5月にも完封を喫している。同じ投手に二度やられるのは、対策を講じていないからだ。レジェンドよりも実務型で苦労人、それも〝愛されキャラ〟の…。努力してその座を掴むのは誰か?
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