新型コロナ感染拡大の影響で2年ぶりの開催となる大相撲名古屋場所が、7月4日から名古屋市のドルフィンズアリーナで始まった。今場所は大関・照ノ富士の綱取りをはじめ珍しく話題が多いが、その中でも目を離せないのが横綱・白鵬の去就だ。
故障が相次ぎ、フル出場したのは昨年の春場所が最後。九州場所後には横綱審議委員会から、「横綱の責務を十分に果たしていない」と〝注意〟を決議された。
それでも白鵬は休場を続けたため、今年の春場所後にはこの決議を継続し、再出場する名古屋場所の結果を見て最終判断することとした。つまり、もう後がないのだ。
では、どんな成績を挙げたら、このピンチを脱することができるのか。伊勢ケ浜審判部長(元横綱・旭富士)は「横綱なのだから、優勝する気持ちでやらないといけない」と話し、最低でも優勝争いに絡むことを求めている。10勝や、11勝では、とても合格点とは言えないのだ。300万円もの月給をもらって1年以上も休んでいたのだから、厳しい見方をされるのは当然だが、かなり高いハードルである。
笑顔で千秋楽を迎えることができるか…
こんな苦境に立つ白鵬に初日の2日前、予期せぬ訃報がもたらされた。かつての兄弟子で、元音羽山親方(元前頭・光法)の峯山賢一さんが、新型コロナウイルスに感染して亡くなっていたのだ。47歳だった。
元音羽山親方と言えば、新弟子時代の白鵬に稽古をつけたことで知られる。また、2010年2月の理事選では、同じ立浪一門の意に反して貴乃花親方に投票して波紋を呼んでいる。18年1月に相撲協会を退職し、その後は元大関・琴光喜が経営する名古屋市内の焼き肉屋で働いていた。
訃報を聞いた白鵬は、次のように話している。
「横綱になれたのは峯山さんのおかげです。こんな形で別れるのは残念」
白鵬はこのショックを吹き払い、笑顔で千秋楽を迎えることができるか。ちなみに、稀勢の里は4日目、三代目若乃花は6日目、武蔵丸は7日目、貴乃花は8日目に引退しているが…。
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