「この人生を無駄にしてはいけない」やしきたかじんの妻・さくらが語る喪失と再出発

『永遠と1日 「たかじんさん」との出会い、別れ、そして今』祥伝社、1,800円(本体価格)、著者:やしきさくら

『永遠と1日 「たかじんさん」との出会い、別れ、そして今』祥伝社、1,800円(本体価格)、著者:やしきさくら
やしきさくら:1981年生まれ。やしきたかじんの妻。Office TAKAJIN代表。インスタグラム、TikTokの公式アカウント「SAKURA.」で日々情報を発信中。本作が初の著書。

出会いから3週間で始まった闘病生活

──やしきたかじんさんと知り合ったきっかけは、なんだったのですか?さくら 2011年の冬、たかじんさんから仕事の依頼がSNSのDMに届きました。その後、クリスマスパーティーに誘われて初めて会い、年末には2人きりで食事へ。ところが、出会って3週間ほどでたかじんさんの食道がんが発覚し、そのまま闘病生活を支えることになりました。’12年、2度目のクリスマスに改めてプロポーズされ、結婚する予定でしたが、翌年5月にがんが再発。闘病が続く中、10月に結婚しました。
──たかじんさんの死後、ネットやメディアで批判や誹謗中傷など、さまざまなトラブルが発生しましたね。
さくら たかじんさんが亡くなってすぐ、あることないことを一方的に、面白おかしく広められました。遺言や寄付について裁判所の判断が示された後も、報じた週刊誌などから訂正や謝罪はありません。今もネットには、間違ったことを書く人がいます。「関係者」を名乗る人物の証言にも不信感が募り、たかじんさんの後を追いたいと思い詰め、何度か自殺を図ったこともありました。

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「母の呪縛」と向き合い、人に支えられた12年間

──本書は「母の呪縛」もテーマとなっていますね。
さくら 実母から受けた暴力や虐待の影響で、人とうまく話せず、いつも相手の顔色をうかがっていました。つらいときや悔しいときほど、つい笑顔を作ってしまう。長くイジメに遭ったのも、そのせいだったと思います。結婚すれば自分だけの味方や家族ができ、愛情を得られると信じていました。けれど、現実は違ったのです。たかじんさんと過ごして、初めて夫婦として共に生きる喜びと、2人の絆を知ることができました。

──近年は、医療事故や結婚詐欺にも遭われたとか。
さくら 結婚詐欺に遭ったのは、最愛のたかじんさんを失い、弱っていたところに付け込まれたからです。医療事故にも遭い、自分自身が生死の境をさまよいました。そのとき、「たかじんさんが生きたかった今日を、私は生きている。この人生を無駄にしてはいけない」と強く思ったのです。いつかたかじんさんと再会する日まで、どう生きていくのか。自分を見つめ直し、SNSで発信したり、本を書いたりするようになりました。苦しいときには、周りの方々が手を差し伸べてくれ、そのおかげで今日まで生きてこられたのだと思います。多くの人に傷つけられましたが、それ以上に人に支えられ、救われた12年間でした。これからも前を向いて生きていきたいです。

(聞き手/程原ケン)

「週刊実話」10月29日・11月5日号より