モーツァルトは「僕の尻を舐めろ」を曲にした? 天才音楽家の“下ネタまみれの素顔”

従姉妹への「残念すぎる」手紙

もっとも、モーツァルトの下ネタ好きは音楽だけにとどまらなかった。米国の医師ベンジャミン・シムキンの調査によれば、刊行されたモーツァルトの書簡371通のうち39通に、糞や屁など下品な表現が含まれているという。

中でも有名なのが、従姉妹マリア・アンナ・テクラ・モーツァルトに宛てた「ベーズレ書簡」(現存9通)だ。1777年以降に書かれたこの書簡群には、糞・屁・尻といった単語が韻を踏みながら乱舞し、研究者たちを長年困惑させてきた。

1777年11月5日付の手紙には、締めの挨拶として「ベッドにウンコをして、ドカンと音を立てろ」という趣旨の韻文が綴られている。優雅な楽曲からは想像もつかない内容に、現代の読者も目を丸くするはずだ。

実は母も…?一家に伝わる「家風」

ただ興味深いのは、この下品なユーモアがモーツァルト一人の突飛な趣味ではなかったという点だ。母アンナ・マリアは、旅先から夫レオポルトに宛てた手紙を同じく下品な韻文で締めくくっており、シムキンによれば父や姉ナンネルの書簡にも似た表現が見られるという。

ニューヨークのモルガン・ライブラリー&ミュージアムは、南ドイツやオーストリア圏では体にまつわる冗談が広く楽しまれ、モーツァルト一家もこの種の言葉遊びを好んだと解説している。

とはいえ、それを6声の輪唱曲にまで仕上げたのが本当にモーツァルト本人かどうかは、前述のとおり議論の余地がある。ただ、39通もの手紙で下ネタを連発した男だけに、「モーツァルトならやりかねない」と思わせてしまうあたり、さすが「残念な天才」の面目躍如といったところである。

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