『VIVANT』別班儀礼曲に泣いた視聴者たちへ…「存在しない組織」ほど儀式にこだわるワケ

 笑えないのは、我々も同じだから

ここで、読者の多くは思い当たるはずだ。朝礼、社訓の唱和、社歌、創業記念の式典。若手が「時代遅れ」と笑うあの行事を、我々は何年も続けてきた。

利益に直結しないのに、なぜ廃れないのか。答えは別班と同じだろう。給料以外に、「ここに属している」という実感を与えてくれる仕組みが、組織には必要だからだ。

もっとも、こちらは存在を隠してはいない。隠さなくて済む組織なら、名刺が仲間の証になる。逆に言えば名刺すら持てない別班が、曲に頼るのは当然ともいえる。皮肉なことに、一般的な会社より、秘密組織のほうが儀礼の意味が浸透しているのかもしれない。

敵に聴かせたのは「絆の見せつけ」か

もう一つ興味深いのは、Fがその曲を敵にも聞こえる状態で流した点だ。儀礼は本来、内輪で行うものである。それを外に向けたのは、「我々には帰る場所がある」という宣言とも、味方への合図とも取れる。ネット上には「野崎守への暗号ではないか」との見方も出ているが、制作側からの公式な説明は、現時点で確認できていない。

また、結束を示す儀礼は同時に敵への威嚇にもなる。軍隊が行進や式典を誇示するのと、構造は似ている。見せることで強くなる。秘密組織が、あえて「見せた」意味は、そこにあったかもしれないのだ。

実在の組織との線引き

念のため付け加えておくと、2026年10月19日時点で確認できた公開情報の範囲では、現実の自衛隊に「別班儀礼曲」という同名の公式楽曲が存在することを裏付ける資料は見つかっていない。

『VIVANT』の最終回は11月8日。残り3話となった。儀礼曲が物語の次の核心につながるのか、それとも名場面で終わるのか。次回第22話は25日に放送される。少なくとも、あの曲に涙した視聴者が、翌朝の朝礼を少しだけ優しい目で見られるようになったのなら、ドラマの功績は大きいのかも。

【関連】『VIVANT』堺雅人「1人3役」に俳優仲間が私見「本来なら3人分でも」出演料めぐり加熱
【関連】織田裕二『踊る大捜査線』興収26億円突破の大ヒット! “丸くなった”番宣の裏側と続編極秘プラン