南野陽子『話しかけたかった』が映す“ナンノ時代”と1987年の王道ポップス【スージー鈴木の週刊歌謡実話第48回】

チャート1位をつかんだ名曲

また前置きが長くなりましたが、今回は、彼女の『話しかけたかった』をご紹介します。

7枚目のシングルで、前作『楽園のDoor』(’87年)に続くチャート1位を獲得。「ナンノ時代」を確固たるものにした曲でした。

「輝いている彼に話しかけたかったけど、出来なかったのは、髪がはねていたから」という可愛い歌詞もよいですが、この曲は何といってもメロディーでしょう。

コード進行、メロディライン、もう本当に、ポップスのお手本みたいな曲です。

そのせいか、聴いているといろんな曲が浮かんでくる。まぁ、王道ポップスはそういうものです。

私は、歌い出しからミッシェル・ポルナレフ『シェリーに口づけ』(’69年)やサザンオールスターズ『希望の轍』(’90年)、サビは中山美穂『色・ホワイトブレンド』(’86年)を想起しましたね。

都会的で洗練された南野陽子には、そんな王道ポップスが実によく似合うのでした。

さて、少し前の話になりますが、8月15日放送のNHKの音楽特番『うたであえたら』で南野陽子が増田惠子(ケイ)と一緒にピンク・レディー『ペッパー警部』(’76年)を披露しました。見ましたか?

ポニーテールに黒のミニ、ニーハイブーツという、若々しく颯爽とした姿で踊るのが、何とも魅力的だったのです。

そして私は、こう思ったのでした。

「やっぱミキ&サトミ&ナンノだよ!」

「週刊実話」10月15日号より

スージー鈴木/音楽評論家

1966(昭和41)年、大阪府東大阪市出身。『9の音粋』(BAYFM)月曜パーソナリティーを務めるほか、『桑田佳祐論』(新潮新書)、『大人のブルーハーツ』(廣済堂出版)、『沢田研二の音楽を聴く1980―1985』(講談社)など著書多数。