「放送禁止用語も解禁でいい」蝶野正洋が提案する“昭和のオヤジ専用テレビ”【蝶野正洋の黒の履歴書】

本音を言えない時代の窮屈さ

伝説的な野球選手として引退後もスポーツ界に「喝」を入れ続けてくれた張本勲さんが亡くなったけど、あの頑固オヤジのようなスタイルがまさに昭和だよね。

歯に衣着せぬ発言が物議を醸すこともあったけど、張本さんの中ではルールがハッキリしているんだよ。努力している選手にはアッパレ、慢心してサボっている選手には喝。どれもストレートで明確だった。男は男らしく、女性は女性らしくのような、今となってはズレてる考え方もあったかもしれないけど、張本さんなりに言葉遣いや発言そのものに対しては、ちゃんとコントロールしていたと思うし、そのあたりはプロだったと思う。

俺だって、テレビでコメントを出すときはオブラートに包んで伝える。表現はマイルドに変えるし、思っていても自分の意見を素直に言わない。例えば、出された料理を食べてみて「マズい」とか「こんなモン食えねえよ」と言えないのが今のテレビ。マズくても「これは…好きな人は好きな味ですね」とか、濁らせて言うのが精いっぱいなんだよ。

でも、味の感想なんて個人の意見なんだから、嫌いなものは嫌いって言ってもいい。視聴者はむしろそういうものが見たいはず。

テレビなんて、いまや高齢者しか見てないんだから、すべての基準を昭和に戻した何でもアリのチャンネルを立ち上げればいいんじゃないかな。視聴者は60歳以上限定で、マイナンバーカードで確認しないと見られない。そのチャンネルでは朝から晩まで昭和のオヤジが言いたいことを言っていて、放送禁止用語も解禁。あとはスポーツとか競馬中継、ドラマは時代劇と刑事モノで、少しくらいのお色気もOK。まぁ、『週刊実話』のテレビ版だね。

昭和のオヤジが、今の時代に合わせたところで限界があるし、そもそもアップデートできない人もたくさんいる。だったら昭和の価値観でまとめた無法地帯があってもいいかもしれないよ。

「週刊実話」10月15日号より

蝶野正洋(ちょうの・まさひろ)

1963年シアトル生まれ。84年に新日本プロレス入団。「nWo JAPAN」を率いるなど“黒のカリスマ”として活躍し、2010年に退団。現在はプロレス関係の他に、テレビやイベントに出演するタレント活動、「救急救命」「地域防災」などの啓発活動にも力を入れる。