【訪米結束】トランプには笑顔、党内には屈服 高市改造人事の"二枚舌"

高市早苗首相(C)週刊実話Web

高市早苗首相は9月22日(日本時間23日未明)、国連総会に合わせてニューヨークでトランプ米大統領と約35分間会談した。24日にワシントンで予定される米中首脳会談を前に中国を巡る懸念を伝え、国際刑事裁判所(ICC)を巡る対応でも意見交換したという。

会談冒頭、高市首相は「日米同盟の強さを世界に示すものになった」と自ら成果を強調した。だが、この対米結束を誇る姿の裏側では、17日に断行したばかりの内閣改造が「対米配慮の産物」との見方でくすぶり続けている。

麻生案通りの内閣改造

自民党長老議員が語る。

「今回の内閣改造の骨格は、麻生太郎副総裁の意向がそのまま反映された。麻生氏、鈴木俊一幹事長、片山さつき財務相ら財政規律派を軒並み留任させたのは、来秋の総裁選再選をにらんだ結果だろう。高市首相自身は17日の会見で、人事に対し『来年の総裁選とは一切関係ない』と否定しているが、これは方便。裏側には麻生氏との蜜月と米国からの圧力が存在するのです」

この「対米配慮」説が語られる背景には、内閣改造に先立つ9月1日の一件がある。米紙ニューヨーク・タイムズは、5月11日に来日したベッセント米財務長官が片山氏との夕食会で2時間以上、高市政権の経済政策への不満を述べ、日銀の独立性を問いただしたと報じた。

片山氏は3日「問いただされたことはない」と否定したが、ベッセント氏自身も同じ9月1日、G20財務相会議後の会見で「リフレ政策をやめるべきだ」と明言し、圧力があったことが明らかになっている。財政規律派の留任は、この圧力の直後というタイミングも重なり、憶測を呼ぶ格好となっているのだ。

封じられたリフレ派人事

実際、高市氏の周辺には積極財政と金融緩和を志向する「リフレ派」の布陣が築かれていた。経済ブレーンには若田部昌澄・早大教授や永浜利広・第一生命経済研究所首席エコノミストらが名を連ね、日銀審議委員にも今春、浅田統一郎・中央大名誉教授、佐藤綾野・青山学院大教授というリフレ色の強い人選を通した。

だからこそ、財政規律派が温存された今回の人事は異例と映る。政治担当記者は「高市氏は財政規律派を退け、リフレ派をさらに重用する人事を描いていたようだが、土壇場で見送られた」と明かしているほどだ。

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長期金利30年ぶり3%

ちなみに、その"土壇場"を後押ししたとみられる要因の一つが、市場の緊張だ。長期金利は7月9日に一時2.9%まで上昇し、その後21日に閣議決定された「骨太の方針」を巡っても市場の警戒は解けなかった。

さらに8月31日締め切りの2027年度予算概算要求では、新設の成長投資枠「強く豊かな日本」枠のシーリングを撤廃した結果、総額143兆円超と過去最大に達した。国債・借入金の残高が約1347兆円(6月末)に上る国が、財源不明の消費減税まで重なったことで、8月末からのG20財務相会議を経た9月1日、長期金利はついに30年ぶりの3%を突破した。

「積極財政一辺倒では市場がもたないという危機感が、党内の財政規律派を手放せなかった一因だろう」と経済アナリストは分析している。

"胴元"発言と物価高

この金利と為替のきしみに、誰より神経をとがらせているのがベッセント氏だ。9月8日にはテキサス州の大学で円売り投機筋に向け「自分が胴元だ」とけん制した。

「日本の金利が上がれば、投資家は米国債を売って日本国債を買う動きを強める。すると米国の長期金利が上がり、住宅ローンなど暮らしに直結する金利を押し上げてしまう。日本同様物価高にあえぐ米国の有権者にこれ以上負担をかけたくないベッセント氏は、日本の円安や金利上昇に神経を尖らせているのです」(政界消息筋)

いずれにせよ、こうした綱引きの末に、対中結束を演出した22日の首脳会談は実現した。米国の圧力と麻生副総裁の思惑を反映した新生・高市政権は運営を本格化させたが、「ケンカに強く、あきらめの悪い高市氏は、隙あらば責任ある積極財政を貫くはず」(前出・自民党長老)との声もあり、対米協調と持論の経済政策との綱渡りは、なお続きそうだ。

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