長州力のムチャぶりで涙が吹っ飛んだ天山広吉引退セレモニー【蝶野正洋の黒の履歴書】

引退後こそ“世間と戦え”

天山は脚の状態が悪く、テンカウントを聞くときもフラフラしていて、立っているのが精いっぱいだったと思う。目をつぶるとバランスが崩れるから、泣いている場合じゃなかったのかもしれない。

俺は天山に「ここにいるレジェンドたちはジジイになっても世間と戦っている。だから天山も戦いつづけろ。治療とリハビリを頑張れ」というメッセージを送った。

天山は50歳半ばで、これからさらに体力が落ちてくる。その状態でケガの治療をするのは、根気が必要なんだよ。体調はすぐによくなるわけではなく、地道にリハビリを続けて少しずつ戻していくしかないんだけど、引退をすると治療に行くのが億劫になるんだよね。

現役時は試合があるから、そこに間に合うように逆算して治療の計画を立てるけど、引退すると締め切りがないので、つい先延ばしにしてしまう。だからこそ、気持ちを緩めずに治療を続けることが大事なんだよ。

でも、いま考えると、今回のゲストのレジェンドたちはみんな一息ついてるタイミングなんだよね。長州さんは目の手術明けで仕事をセーブしてるし、馳先生は石川県知事を辞めていろいろ仕切り直している最中で、番長も横浜DeNAベイスターズの監督を退任したばかり。あの場所にいた半分くらいは、世間と戦ってなかったよ(笑)。

天山は引退直後からイベントなどで稼働が続くようだけど、とにかく自分の身体と家族、特に奥さんを最優先にして活動していってほしいね。

「週刊実話」9月17・24日号より

蝶野正洋(ちょうの・まさひろ)

1963年シアトル生まれ。84年に新日本プロレス入団。「nWo JAPAN」を率いるなど“黒のカリスマ”として活躍し、2010年に退団。現在はプロレス関係の他に、テレビやイベントに出演するタレント活動、「救急救命」「地域防災」などの啓発活動にも力を入れる。