エンゼルス6400億円売却の衝撃──次は日本のプロ野球が外資に買われる番か

大谷の古巣エンゼルスがMLB史上最高額で売却された

ロサンゼルス・エンゼルスがスポーツ投資大手クロエンケ・スポーツ&エンターテインメントに球団を売却することで合意したというニュースは、世界のスポーツビジネス界に激震を走らせた。

売却額はMLB史上最高の約40億ドル──日本円にして約6400億円。
大谷翔平が去り、成績が低迷していた球団でさえこの値段がつくという現実は、世界のスポーツビジネスがすでに“異次元のマネーゲーム”へ突入していることを物語っている。

この巨大マネーの波は、いずれ日本のプロ野球にも押し寄せるのか──そんな問いが現実味を帯び始めている。

NPBはなぜ外資を拒むのか──イーロン・マスク買収説が示した“異常な壁”

日本のプロ野球(NPB)は、世界のスポーツビジネスが巨大化する中で、依然として“鎖国”状態にある。

かつて「イーロン・マスクが楽天イーグルスを買収するのではないか」という噂がネットを駆け巡ったことがあった。しかし、どれほど世界最高峰の大富豪が巨額の資金を積もうとも、現在のNPBの仕組みでは海外勢が単独で球団を買い取り、オーナーとして君臨することはほぼ不可能だ。

理由は単純である。NPBには「12球団オーナー会議」という絶対権力が存在し、既存オーナーが首を縦に振らなければ、どれほどの札束を積まれようとも球団は一ミリも動かない。

NPB球団は単なる株式会社ではなく、公式戦に参加するための「フランチャイズ権(参加資格)」を持つ特殊な存在だ。株式を買えば経営権を握れるという一般的なM&Aの常識は通用しない。親会社の変更や株式譲渡にはNPB実行委員会とオーナー会議の承認が必須であり、その審査を行うのは中立機関ではなく、既得権益を握るライバル球団のオーナーたち自身である。

表向きには「球団が投資商品化され、短期利益のために選手年俸が削減されるリスク」や「採算が合わなければあっさり転売・海外移転される懸念」、「オンラインギャンブル等の影」などが理由として挙げられる。

しかし、本音はもっと生々しい。
球団は「親会社の広報部門」であり、「オーナー自身の最高のステータス」でもある。
自分たちの庭を外資に荒らされたくない──昭和から続く“村社会の論理”こそが、NPBの外資拒否の根底にある。

ダイエー、近鉄、DeNA…買収劇が暴いた“NPBの村社会”

過去の球団再編を振り返れば、この閉鎖性はいっそう鮮明になる。

2004年の近鉄バファローズ消滅をきっかけに、楽天とライブドアが新規参入を争ったことは象徴的だ。純粋な財務力よりも、旧来の球界・財界との信頼関係が審査の決め手となった。

ダイエーを買収したソフトバンクは、福岡に残る意思と赤字補填の覚悟を徹底的に問い詰められた。横浜ベイスターズを買収したDeNAは「ゲーム会社に球団が維持できるのか」という偏見にさらされ、承認まで泥沼の議論が続いた。

NPBは常に新参者に冷たく、外資に至っては門前払いに近い。

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