吸い込めば肺がんなどのリスクも…「終着」しないアスベスト被害の恐怖

吸引すると健康に悪影響が…

8月11日に東京メトロ半蔵門線の半蔵門駅構内でアスベスト(石綿)を含む素材が見つかり、安全確認のため渋谷駅と九段下駅間で、始発から14時間にわたり運転を見合わせた。

国土交通省は全国の鉄道会社に点検実施を要請。これが原因で改めて、アスベストの健康被害がクローズアップされている。

肺に長期残留、がんのリスクも

アスベストは繊維状の天然鉱物の総称で「せきめん」、「いしわた」と呼ばれ、ほぐすと綿のようになる。その繊維は極めて細かく耐熱性、耐久性、耐摩耗性、絶縁性といった特性から、日本では建材、ボイラーや配管などに広く使われてきた。

「工業製品の原材料にも使用されていましたが、アスベストは極めて細かい繊維なので空中に浮遊しやすく、人が吸い込んでしまう恐れがある。アスベストは丈夫で変化し難い。一旦、吸い込むと肺の組織内に長くとどまって、肺がん、悪性中皮腫、石綿肺などの健康被害を引き起こすんです」(環境アナリスト)

’75年に吹付禁止も被害続出

ビルなどの建設工事において健康被害者が続出したため、石綿吹付作業は1975年に原則禁止され、’04年には工業製品の製造等も段階的に禁止が始まった。現在では石綿吹付作業及びアスベスト製品の製造等は全面的に禁止されている。

「アスベストによる健康被害は数十年以上の長い期間を経て発症する。’06年には“石綿による健康被害の救済に関する法律”も施行されました。その後、同法律は改正を重ねましたが、いくつもの集団訴訟を起こされている。7月29日には建築現場でのアスベストによる健康被害を巡り、元作業員と遺族ら61人が建材メーカー12社に損害賠償を求めた訴訟で、大阪地裁は全員の請求を認め、8社に計約4億5600万円の賠償を命じました」(全国紙記者)

政府に説明責任求める声

冒頭の東京メトロ半蔵門線半蔵門駅でのアスベストで健康被害はまだ報告されていないが、国交省は全国の鉄道会社に点検実施する要請を出した。

「政府はどこにアスベストが使用され、対策は講じられているのか説明責任を果たすべき」(同)

石綿健康被害は“終着”していない。

【関連】【提訴】「令和の蚊」は11月まで活動 温暖化で変わった蚊の生態とデング熱国内感染リスク
【関連】【提訴】別居中の妻が“他人の精子”で出産 元夫が1100万円求め病院を提訴 京都地裁で始まった“前代未聞の不妊治療トラブル”