爆発映像より「被災地に必要な情報」を…蝶野正洋が問う“震災報道”のあり方【蝶野正洋の黒の履歴書】

地方局だからこそできること

問題はテレビの報道だよ。イオンは消費者にとって馴染みのある場所だし、爆発映像のインパクトが強いから放送すれば注目を集めやすいのかもしれない。でも、震災の報道なんだから、目先の話題性を優先したり、視聴率至上主義になるのは違うと思う。メディアはもっと被災地の状況だとか、どこの地域で何が足りないとか、被災された方々にとって有用な情報を流し続けるべきだよね。

日本はさまざまな震災を経験して、国民の防災意識は年を追うごとに高まっている。災害用の備蓄をしている自治体や企業も増えたし、いざとなったら被災地に物資を送る体制も整ってきた。それに、何かあったら現地に駆けつけるという震災ボランティアの人もたくさんいる。

ただ、それらの物資や人材を仕分けする各地の対策本部がなかなか立ち上がらないという問題が、以前から指摘されていた。東日本大震災以降、ここをなんとかしなきゃいけないっていうのが災害対策のテーマだったんだよ。

そのためにも、まずは情報を集約することが大事なんだよ。各地の被害状況を調べて、どこの水道が止まっていて、停電してるエリアはどこなのか、道路はクルマが通れる状況なのかなどを把握する。それを踏まえて「今どこで何が足りないのか」ということが分かれば、救援物資やボランティアの方々を適切に送り届けることができる。

だけど、人口の少ない過疎地になればなるほど、こうした情報を集めることが難しくなる。そこにマスコミの情報収集力と拡散能力を活かしてほしい。

視聴率は取れないかもしれないけど、震災情報を1日中流しっぱなしでもいいくらいだよ。特に地方ローカル局というのは、こういうときのために存在していると俺は思うけどね。

「週刊実話」9月3日号より

蝶野正洋(ちょうの・まさひろ)

1963年シアトル生まれ。84年に新日本プロレス入団。「nWo JAPAN」を率いるなど“黒のカリスマ”として活躍し、2010年に退団。現在はプロレス関係の他に、テレビやイベントに出演するタレント活動、「救急救命」「地域防災」などの啓発活動にも力を入れる。