フジ・メディア・ホールディングス(フジMHD)の株主総会が6月25日に行われ、すでに発表されていた通り、傘下の中核子会社・フジテレビの遠藤龍之介社長が退任し、フジMHD、フジテレビ両社の副会長に就任。後任にはフジMHDの金光修社長が就き、両社の社長を兼任する。
遠藤氏は芥川賞作家の遠藤周作の長男で、鳴り物入りで社長に就任したものの、わずか2年での退任となった。フジテレビは今年3月期決算で、当期純利益は前期比75.5%もの大幅減。業績悪化の責任を取らされたとみられる。
「社長から副会長になる遠藤氏は昇進と思われがちですが、代表権が剥奪された形なので事実上の降格です。金光氏が2社の社長を兼任するのも人材不足の証明みたいなもので、人事としては不格好。金光氏はかつて『カノッサの屈辱』や『料理の鉄人』をヒットさせた人物だが、1~2年の短期政権になるでしょう」(経済誌記者)
トカゲのしっぽ切りを繰り返す
フジテレビは業績不振ばかりではなく、毎年のように不祥事が続いている。
放送法では、放送事業者の外国人株主の議決権比率を20%未満とするよう定めているが、フジMHDは2014年9月までの2年間、比率が20%を上回る違法状態を放置していた。放送事業者の認定取り消しになってもおかしくない大失態だっただけに、総会でも同社のガバナンスを追及する株主が見られた。
今年の株主総会は、昨年までの大型ホテルから社内イベントスペースに会場を移し、人数制限を設けての開催だった。感染防止が名目だが、来場しなかった株主に対してネットで総会をライブ配信するなどの救済措置はなく、情報公開に後ろ向きとの印象を与えた。
「グループを牛耳っているのは今もフジMHDの日枝久相談役で、子飼いの部下を役職に就けては、トカゲのしっぽ切りを繰り返しています」(同・記者)
質問した株主はわずか10人。宮内正喜議長が「質疑は尽くされたものと…」と強制的に質疑応答を打ち切り、総会は78分で終了した。
「楽しくなければテレビじゃない」をキャッチコピーにしていたメディアとは思えない〝闇〟を感じる株主総会だ。
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