勝つだけに留まらず、泣いて、笑って、みんなを支えた――吉田沙保里が魅せた「霊長類最強」の男前伝説【スポーツ界"男気列伝"】

リオ五輪で見せた"最強"よりも強い姿

2016年リオデジャネイロ五輪。吉田はオリンピック4連覇を期待されていた。だが決勝で敗れ、銀メダルに終わる。試合後、吉田は何度も涙を流しながら「申し訳ありません」と繰り返した。

本来なら銀メダルは十分すぎる偉業である。しかし彼女は、自分ではなく応援してくれた人たちへの責任を口にした。その姿に、多くの日本人が胸を打たれた。

「『負けてもこんなに立派な人がいる』、SNSにはそんな声があふれた。勝者であることより、人としてどうあるべきか。吉田は期待のかかった大舞台で最後まで、その姿を見せ続けたのです」(スポーツ紙デスク)

引退しても"みんなの沙保里さん"

引退後も吉田は、テレビ出演だけでなくレスリングの普及活動や子どもたちへの指導を積極的に続けている。

「イベントでは必ず子ども目線で話し、一人ひとりと笑顔で接する。写真撮影やサインにも気さくに応じる姿は、現役時代と変わらない。絶対王者だった人ほど威圧感を漂わせそうなものだが、吉田にはそれがない。だから誰からも愛される」(芸能関係者)

本当の強さは、人を思いやる強さだった

女性ながら吉田沙保里が示した男気は、「人のために戦える強さ」だった。

父から受け継いだ教えを胸に世界一になり、後輩たちを支え、負けたときには責任を一身に背負った。最強だから尊敬されたのではない。最強なのに偉ぶらなかったから、人は吉田を慕ったのである。

さらに言えば、"男気"とは決して男だけのものではない。覚悟と優しさを持ち、人のために動ける人間だけが手にできる称号なのだ。(敬称略)

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