高杉吏麒が20歳でフリー転向 JRA最優秀新人に何が起きたのか、三浦皇成の過去と重なる「フリーの現実」

 

高杉吏麒騎手の実戦復帰はいつになるのだろうか(Instagramより)

所属を離れる重さ…三浦皇成が歩んだ「試練と復活」の前例

若手時代に爆発的な実績を残しながら、早い段階でフリー転向を経験した騎手として思い起こされるのが、美浦の三浦皇成騎手(36)だ。

三浦騎手は1年目の2008年に武豊騎手の新人最多勝記録を更新する91勝を挙げ、一躍スターダムに駆け上がった。しかしタレント・ほしのあきとの交際などを巡り周囲との摩擦も伝えられる中、2009年10月に師匠の河野通文調教師と話し合いの末、デビュー2年目でフリーへと独立した。

所属厩舎という後ろ盾を失い、自力で馬主や調教師との信頼関係を築かなければならないフリーの世界は、想像以上に過酷だった。フリー転向直後の2010年は46勝と一時的に勝ち星を落とし、苦しい時期を過ごすこととなった。

それでも三浦騎手は地道な乗込と結果で信頼を再構築し、2011年に67勝、2012年に77勝とV字回復を達成。2012年3月には美浦・鹿戸雄一厩舎への所属が決まり体制を立て直した。2016年8月には落馬事故により骨盤と肋骨9本を骨折し、うち3本が肺に突き刺さる瀕死の重傷を負うも、1年間の厳しいリハビリを経て復帰を果たしている。

若くして守ってくれる所属枠組みを失うことがどれほど大きなリスクとなるか、そしてそれを乗り越えるためにどれほどの姿勢が問われるか、三浦騎手の歩んできた歴史がそれを物語っている。

中京での騎乗復帰はあるか…問われるプロとしての信頼

現在、ファンの関心は高杉騎手の実戦復帰に向けられている。一部では8月15日の中京競馬場(6R)に出走予定のアスゴッドへの騎乗が取り沙汰されており、同馬に過去複数回騎乗してきた経緯から注目を集めている。今回のフリー転向によって、デビュー以来支えてきた藤岡健一厩舎との関係が一区切りを迎えたことになる。

ネット上では「プロとして最低限のマナーや時間を守ってほしい」「もう一度気を引き締めてほしい」という厳しい視線が注がれる一方で、「腕は確かなだけに、しっかり反省して結果で見返してほしい」と再起を応援する声も少なくない。

20歳でのフリー転向は、JRAのトップ若手騎手としては異例の決断だ。競馬界は結果がすべての実力社会であると同時に、調教師や馬主、エージェントとの人間関係と信頼で成り立つ世界でもある。所属厩舎を離れた今、高杉騎手に求められるのは「才能の証明」以上に「プロ騎手として誠実に結果を出し続けられるか」という信頼の再構築となる。

最多勝利新人騎手賞を獲得した20歳の才能が、この異例のフリー転向を「転落の始まり」にするのか、それとも「本物のトップジョッキーへの分岐点」に変えられるのか。まずは今週末の中京で、その第一歩が示されるかもしれない。

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