高校野球「7イニング制」田中将大vs斎藤佑樹── "あの夏"を知る2人の意見が真っ向から割れた本当の理由

「絶対につまらなくならない」斎藤の論理

一方、斎藤佑樹は真逆の立場だ。引退後は実業家として活動しながら野球の普及に携わる斎藤は「間近で球児と接しているからこそ、断言できます。7イニング制になっても野球がつまらなくなることは絶対にない」と明言。

「7イニング制となればペース配分も変わるはず。投手の球速が上がって、それに対応しようと打者も進化する。よりレベルの高い野球が見られるようになるのでは」と前向きに論じた。

現場に近い目線から「選手の身体を守ること」を優先する斎藤の主張は、高野連の検討会議が打ち出した提言の方向性とも一致する。

“あの夏の試合”が引き出す答えの違い

同じ夏の同じ決勝のマウンドに立ちながら、2人の答えは対極だ。

「田中は『あの249球があったから今の自分がある』という体験の重みから9回制を守ろうとしている。斎藤は『あの夏のような無理は、今の球児にさせてはいけない』という使命感から7回制を支持する。同じ経験が正反対の結論を導く逆説が、この議論の本質を象徴しているのです」(高校野球関係者)

高野連の最終報告書は「2028年のセンバツからの導入が望ましい」と提言した。加盟校の約7割が反対しているとされるなか、現場の高校野球指導者からも「9イニングを7イニングに短縮することは野球の本質を変えてしまう。酷暑に対応するなら開催場所を変えるのがベストだ」という声が上がっている。

田中と斎藤という、同じ甲子園の土を踏んだ2人の意見がこれほど鮮やかに割れた事実は、7イニング制論争の答えがいかに複雑かを物語っている。この「2人の対話」は2028年という期限に向けて、今後球界全体が直面する問いを代弁していると言えそうだ。

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