徳島商・板東英二の1大会83奪三振は今も破られず 麻酔注射で延長18回を投げ抜いた「鉄腕の夏」【夏の甲子園不滅の記録⑦】

準決勝14奪三振、そして力尽きた決勝

当時の板東英二さん

3日連続の試合となった準決勝の作新学院(栃木)戦でも1安打14奪三振と力投。これで記録を大幅に更新する80奪三振に到達した。もはや人間の限界を超えた数字だった。

決勝は柳井(山口)との対戦になったが、さすがに疲労で本調子ではなく、柳井のエース友歳克彦に0対8で完封負けを喫した。準優勝にとどまったものの大会を通じて83奪三振を記録した。6試合を1人で投げ抜き、肩と腰が限界を超えた末の敗戦だった。

ルールさえ変えた「怪物右腕」の足跡

板東の偉業はこれにとどまらない。同年夏の甲子園を前にした春季四国大会でも、板東は準決勝で延長16回、翌々日の決勝では延長25回をひとりで投げ切った。

こうした事態を重く見た日本高等学校野球連盟は延長戦のルールを急遽変更。延長18回で引き分けの場合は再試合とするルールが誕生したが、前記した通り、板東はその新ルール第1号の当事者にもなっている。

83という数字は、ひとりの投手が一つの大会でどこまで投げられるかの、人類の限界値に近い数字かもしれない。走るのが嫌で三振を取り続けた少年が、気づけば歴史を動かしていたのだ。

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