「1000枚集めても終わらない」野球音源収集家・FPM中嶋が語る“終わりなき探求”【死ぬ前にやっておくべきこと】

白河奈美『離婚』(C)週刊実話Web

CD&レコード1000枚を超えても終わらない偏愛

最初のイベントから約30年。収集した野球レコード・CDは約1000枚を数え、日本ハムファンである中嶋が’80年に新人記録を総ナメした木田勇がそのオフに出したレコード『青春・I TRY MY BEST』を背番号にちなんで16枚を集めようと誓いを立てたが、いつしか目標を超えて17枚になってしまった。

野球音源収集の世界では、大谷翔平クラスの怪物となってしまった中嶋は、もはやこの世界でやれることはやり尽くしたのではないか。

「いやいや。まだまだ盤の存在は知ってはいても未入手の作品もあります。ただ、収集の初期において発掘の中心だった中古レコード店で手に入れられるものはもう手に入れ尽くしてしまったので、最近はネットオークションを徘徊しています。これはもうレコード店巡りに比べて遥かに難易度の高い作業になっていると実感します。家族モノで『あの選手の親戚らしい』とか、白川奈美のように『元奥さんだ』などの人間関係の情報を入手するとか、曲のタイトルに野球と分かるようなタイトルをつけてなくても、実は歌詞を見ると、野球モノだったという曲もあったりするので、その捜索は非常にテクニカルなものになってきてはいます」

中嶋はいまだにヒマさえあれば野球音源を探してネットの深海を潜り続けている。コレクターに「これを集めてどうするのか?」と聞くのは、「ホームランバッターにそんなに飛ばしてどうするの?」と聞くに似た愚問である。大量の野球レコードの山を前に「突然死したら妻に迷惑を掛けるのでは」と心配をするようになった中嶋がこの先「死ぬ前にやっておくべきこと」として見据えているものは何なのであろうか。

「2年前に書籍という形で野球音源をまとめることはできましたが、これから私が死ぬ前にやらなければならないことは、日本における野球音源の成り立ちからの歴史をアーカイブに残すことだと思っています。そもそもの野球と音楽の馴れ初めは、1931年早慶戦で早稲田の応援団が古関裕而に依頼した『紺碧の空』からはじまり、慶応の『我ぞ覇者』『大阪タイガースの歌』『闘魂込めて』などへと続いていきます。全部古関裕而なんですが、まぁ、こういったことを後世に残す作業をしていけたらなと思っています」

中嶋が「残すべき最後の仕事」だという野球音源の歴史。次回からは、その知らなければ一生知らない、知れば必ず虜になる深淵なる世界に触れてみたい。
 (中編に続く)

「週刊実話」7月23日号より