「奪われるくらいなら生きてるうちに食いつぶす」トクリュウが変えたプチ資産家老夫婦の生き様

高級車も旅行も寄付も一切やめた

実際のところ、戸塚さん夫婦の暮らし向きは悪くない。地元の大手メーカーを定年まで勤め上げた正志さんは十分な年金を受け取っているし、洋子さんの方も10年ほど前に親の遺産を相続しているそうで、「正直お金に困ったことはない」という。

「昔は夫婦で高級車とか外車を乗り回していましたけど、今はご覧のようにふたり共中古の軽自動車です。70歳くらいまでは夫婦で海外旅行なんかも行ったし、そのお土産を近所に配ったりもしたけど、今は絶対やりません。温泉に行った時に饅頭くらいは買って配ってもいいかな、とは思うんですけど『金に余裕がある』と思われたくないんです」

地元の福祉団体や子ども会に定期的な支援を行っていたこともある戸塚さん夫妻だが、今では一切手を引いており、寄付や募金と名の付くものは500円の定額制になっている「赤い羽根共同募金」ですら拒否している。

「とにかく周囲からは『昔は羽振りが良かったけど、今は尾羽打ち枯らした』くらいに思ってもらえればいいんです」

「財産を奪われるなら生きて食いつぶす」

「トクリュウだか何だか知らないけど、普通の人間がアルバイト感覚で犯罪グループに仲間入りして、詐欺とか強盗とかを働くんでしょ? 私らの周りの人間やその知り合いがトクリュウになることもあるわけだから、油断なんかできないですよ」

そう語る戸塚さん夫婦は、自宅を売却して夫婦で高齢者施設に移ることも検討中だ。

「せっかくなので、セキュリティのしっかりした高級老人ホームもいいかなと思っています。財産をトクリュウに奪われるくらいなら、生きているうちに夫婦で食いつぶします」

「トクリュウ」はその存在自体が、高齢者の生活を脅かしているのだった。

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取材・文/清水芽々