永作博美『My Home town』が映す“乙女塾の記憶”と1993年の美メロ遺産【スージー鈴木の週刊歌謡実話第38回】

23歳の歌声に宿っていた女優の資質

さて、私は「演技力のある俳優は歌もうまい」という仮説を持っています。特に最近の若手女性俳優は、みな一様に歌がうまい。その先駆けではないでしょうか、永作博美は。

’70年生まれ、現在55歳らしいですが、この曲がリリースされた’93年には、23歳。

フジテレビ系『パラダイスGoGo!!』の、その名も懐かしい「乙女塾」出身。3人組アイドル「ribbon」で活動しながら、この曲でソロデビュー。

「おニャン子クラブ」に対して、今やほとんど語られることのない乙女塾ですが、永作博美がいる限り、忘れ去られることはない。絶対にない。
 
俳優として大成する彼女の才能が活きたのでしょう。デビュー曲にもかかわらず、歌詞に自然に溶け込んで、自然に歌っているさまが聴かせます。

また、当時「L⇔R」というグループで活動していた黒沢健一による美メロや、旅立ちの瞬間に故郷を思うという、秋谷銀四郎による歌詞世界も、今聴いてもいい。というか、今聴くからこそ、さらにいい。

いい曲だなぁ。みんな再評価してくれないかしら。

なお、美メロを生み出した黒沢健一は10年前、2016年に早逝。『My Home Town』同様、彼の再評価も希望するところです。

「週刊実話」7月2・9日号より

スージー鈴木/音楽評論家

1966(昭和41)年、大阪府東大阪市出身。『9の音粋』(BAYFM)月曜パーソナリティーを務めるほか、『桑田佳祐論』(新潮新書)、『大人のブルーハーツ』(廣済堂出版)、『沢田研二の音楽を聴く1980―1985』(講談社)など著書多数。