「新日本プロレスは原点に戻るべき」蝶野正洋が語るオーナー交代と“ストロングスタイル回帰論”【蝶野正洋の黒の履歴書】

WWEモデル追随で失われた“新日本プロレスらしさ”

一方、テレビ朝日はサイバーエージェントと組んで、ネットテレビ局「AbemaTV」(現在は「ABEMA」)を2016年に立ち上げ、ここでも新日本プロレスの動画が視聴できるようになった。要するに新日本プロレスというコンテンツを放送・配信をするメディアが増加して、それぞれの思惑や利益配分が難しくなったんだよ。

ブシロードは「新日本プロレスワールド」を収益の軸にしたかったと思うんだけど、映像の権利はテレビ朝日が持っているから100%の利益を得ることができない。

プロレスを興行収入から映像配信を中心にして、キャラクタービジネスを展開していくというのは、アメリカのWWEが展開しているビジネスモデル。新日本プロレスもそれを目指したんだと思うけど、その分、分かりやすい試合が求められて、試合スタイルも徐々に変化していった。それで昔からの新日本ファンが離れてしまったんだよ。

俺はアメリカの真似をするのではなく、新日本プロレスらしいストロングスタイルを磨いて、まずはアジアに進出して足固めをする方がいいんじゃないかって、20年前から言い続けているんだけどね。

だから、ここで原点回帰というか、もう一度、新しく作り変えるぐらいのことをやるべきなんだけど、新日本プロレスの棚橋社長は指針が見えないというか、何を考えているのかいまいち分からないんだよ(笑)。

テレビ朝日とサイバーエージェントも決して一枚岩ではないようだけど、今は目先の視聴率やアクセス数を競い合ってもしょうがない。ここで権利関係や役割を整理して、それぞれの得意分野をきっちり分けてやっていくべきだね。

「週刊実話」7月2・9日号より

蝶野正洋(ちょうの・まさひろ)

1963年シアトル生まれ。84年に新日本プロレス入団。「nWo JAPAN」を率いるなど“黒のカリスマ”として活躍し、2010年に退団。現在はプロレス関係の他に、テレビやイベントに出演するタレント活動、「救急救命」「地域防災」などの啓発活動にも力を入れる。