問題児に言葉は届くのか――教師も施設職員も苦悩する『四月の余白』のリアル



見終えた後も胸を締めつける余韻

海斗を演じる上坂隼人が素晴らしい! そして施設にいる生島詩を演じる山﨑七海の存在感もすごい。また、西を演じる一ノ瀬ワタルは格闘家から転身した俳優で、私も元プロレスラーとして他人とは思えない。物語では、とある場面から突然、それまでの西のイメージを覆す変化に“ウワッ”と思いました。

ここでは、大人がみんな振り回されてしまう。意味のない暴力を振るう若者たちには、言葉で向き合ったところで何も響かない。教育だと言って手を上げることもできない。では、どうしたらいい? 一人一人の人物の心情に潜り込んでみると、頭を抱えてしまうほど社会と人の心が噛み合わない。そんなことを、𠮷田監督が見応えのあるエンターテインメントに仕上げたことがすごい。

この作品は、育った地域の治安が悪かった𠮷田監督自身の経験から、「この映画が教師の環境問題、理解を超えた子供との向き合い方を見つめ直すきっかけになれば幸いです」と監督は言います。

作品、監督、俳優、すべてに拍手を送りたいくらい素晴らしい作品だけれど、見終わると手が上がらないほど、心にずっしりきます。

『四月の余白』
監督・脚本:𠮷田恵輔 音楽:世武裕子 出演:一ノ瀬ワタル、夏帆、上阪隼人、篠原篤、占部房子、山﨑七海、和田庵、髙田万作、松木大輔、小沢まゆ、パトリック・ハーラン 配給:アークエンタテインメント 6月26日新宿ピカデリーほか全国公開

「週刊実話」7月2・9日号より

LiLiCo(リリコ)

映画コメンテーター。ストックホルム出身、スウェーデン人の父と日本人の母を持つ。18歳で来日、1989年から芸能活動をスタート。TBS『王様のブランチ』、CX『ノンストップ』などにレギュラー出演。ほかにもラジオ、トークショー、声優などマルチに活躍中。