【深淵ホラー劇場:映画界が封印した『G級の神々』】#9 変容する映画監督ドミツィアーノ・クリストファロ──身体と恐怖を操る異端の映像世界 <後編>

◆身体はすべてを記憶する。舞台芸術の原点と日本の舞踏からの影響

身体はすべてを記憶する。舞台芸術の原点と日本の舞踏からの影響
少年時代のクリストファロは、小学校の休み時間に紙で人形を作り、小さな劇場を組み立てて遊ぶような創造性に満ちた子どもだった。大人になり、演劇や映画の世界へ進んだのは必然の流れだったと言える。

1990年代、彼はマルチメディア・アーティストのナト・フラスカ(Nato Frascà)に師事して形態心理学を学び、さらに日本が誇る伝説的舞踏家・岩名雅記のもとで圧倒的な身体表現を磨き上げた。舞踏(Butoh)が持つ“身体は記憶の器である”という思想は、クリストファロの芸術観に深く影響を与えた。

2006年には、見せ物小屋文化とボディアートを融合させた前衛劇団「BLOODY CABARET(血のキャバレー)」を旗揚げし、演劇界での活動を一気に拡張させた。なかでも二人芝居の傑作『CENIZAS(灰)』は、広島と長崎を襲った歴史的惨禍をテーマに、言葉だけでなく鍛え上げられた身体表現によって深い問いを投げかける。

彼はこの舞台について、静かに、しかし鋭く問いかける。「心が必死に記憶し続けようとするものを、身体はどのように記憶するのか?」。人間の心が必死に抱え続ける歴史的な痛みを、私たちの肉体はどのように受け止め、どのように残していくのか――その本質的な問いが作品全体を貫いている。

◆映画と演劇の境界線を越え、世界を揺るがし続けるクリエイターの未来

映画と演劇の境界線を越え、世界を揺るがし続けるクリエイターの未来
クリストファロによれば、彼が手掛けたカルトホラー映画の円盤や限定Tシャツ、各種オリジナルグッズは、主に「Dagon Films」という専門ショップで公式に取り扱われている。現在、彼は舞台『CENIZAS』の公演のため、ヨーロッパ各地を巡業する多忙な日々を送っている。

一方で映画製作への情熱も衰えず、新作映画『-18 Gradi』の撮影を終え、現在はポストプロダクションの最終段階にある。さらに、日本とヨーロッパの文化を怪奇的に融合させた新作ファンタジー映画『妖怪 〜影の書〜』は、すでに世界の主要映画祭で上映され、コアな映画ファンから熱狂的な支持を集めている。

映画と演劇、双方の世界を自由に行き来する自らのスタンスについて、彼は最後にこう締めくくった。「演劇は存在感とリスク、映画はコントロールと変容に関わるものですが、どちらも身体を表現と対峙の場として探求しています。私は両者を行き来するのが好きです」。その言葉には、クリストファロの芸術がこれからも進化し続けるという確信が宿っている。

ドミツィアーノ・クリストファロは、これからも自らの芸術を進化させ、肉体とスクリーンに強烈な変容の痕跡を残し続けるに違いない。


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ドミツィアーノ・クリストファロ公式インスタグラム

https://www.instagram.com/domizianocristopharo

ドミツィアーノ・クリストファロ公式ウェブサイト

www.domizianocristopharo.info

インタビュー・本文/沙さ綺ゆがみ