“お金持ちほど危険”な世界へ 映画『億万長者の不都合な終末』のブラックユーモアが痛快



最後まで見届けたい秀逸な結末

さて、本作の主人公はストリーミング・プラットフォームの映画プロデューサー・ローラ。家族を顧みず自らのキャリアにすべてを捧げてきた結果、念願の富と権力を手に…と思った矢先の価値観の大転換です。

富が死を招くと分かってからは、金持ち同士で財産のなすりつけ合いが始まるのですから、実に滑稽です。

映画の後半は、資本主義社会からのサバイバルゲーム。家族の絆など、お金では買えないものに目覚めたローラは裸一貫になるまで逃げ続け、秀逸なオチに至ります。どうか最後の瞬間まで見逃さないでください。

一言だけ付け加えるなら、流れ着いたアフリカ・リビアの描き方が雑。リビアってもともとは都会です。石油も出ていたし、豊かな国だったんです。カダフィ大佐が統治していた時代は、観光もできたし、インフラも整備されて文化程度も高かった。今や内戦状態ですけどね。

『億万長者の不都合な終末』
監督・脚本・製作:ガルデル・ガステル=ウルティア 出演:メアリー・エリザベス・ウィンステッド、レイフ・スポール、ロレイン・ブラッコ、ジョナ・ハウアー=キング、ティモシー・スポール 配給:シンカ 6月19日(金)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー

「週刊実話」6月25日号より

やくみつる

漫画家。新聞・雑誌に数多くの連載を持つ他、TV等のコメンテーターとしてもマルチに活躍。