「殺意」を認めながら「殺人罪」は否認――旭川女子高生殺害事件、裁判員が判決で迫られる“究極の選択”

「限界まで追い込まれた」――検察が迫る「心理的殺人」の輪郭

この「直接手を下していない」とする弁護側の防壁に対し、検察側は精緻な論理で切り込んだ。

全裸で欄干に座らされ、凄まじい怒号で「落ちろ」と脅迫され続けた被害者は、「限界まで追い込まれ、橋から落ちる以外の選択肢は考えられない心理状態に陥っていた」と検察は指摘。たとえ直接背中を押していなくとも、被告の行為によって転落死に誘導されたのであれば、十分に殺人罪が成立するという論法だ。

さらに、共犯者として証人台に立った女の「梨瑚さんは(被害者の)肩甲骨のあたりを両手で押しました」という、生々しい直接関与の証言も内田被告を追い詰めている。

涙の謝罪と、法廷に響き渡った父親の絶叫

それもあってか、これまでの公判ではどこか他人事のように無表情を貫いてきた内田被告も、弁護側からの質問に入ると一転して涙を流した。

「私の身勝手で非常識な言動によって、女子高校生のこれからの人生を奪ってしまい、本当に申し訳ございません」と、遺族の席に向かって約20秒間頭を下げた。

しかし、その涙が遺族の無念を晴らすはずもない。被害者参加制度を利用して出廷した被害者の父親は、涙を流しながら内田被告を真っ直ぐに指差し、声を震わせながら絶叫した。

「裁判官の皆様、裁判員の皆様、どうか……どうか……あいつを。私の娘が望む判決を下してください」

保育士になる夢を無残に奪われた娘と、この残された家族の血を吐くような訴えに、傍聴席だけでなく裁判員席からも静かな嗚咽が漏れ聞こえた。

6月22日――6人の裁判員が下す「究極の答え」

最終陳述で内田被告は「今後も反省、謝罪、償いの日々を送ります」と頭を下げ、裁判は結審したが、少女を精神的・肉体的に極限まで追い詰め、川へと転落させた行為は果たして冷酷な「殺人」と認定されるのか。それとも弁護側の主張通り「不同意わいせつ致死」にとどまるのか。

6月22日に6人の裁判員はあの夜、神居大橋の欄干で起きた“真実”に審判を下すことになる。

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