「学歴や年収だけが格差じゃない」中川淳一郎が読み解く“現代人の生きづらさ”

『それってホントに「勝ち組」ですか? 現代格差の読み解き方』鹿砦社 1,600円(本体価格)

『それってホントに「勝ち組」ですか? 現代格差の読み解き方』鹿砦社 1,600円(本体価格)著者:中川淳一郎
なかがわ・じゅんいちろう:1973年東京都生まれ。ネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、『テレビブロス』編集者などを経て、2020年からは佐賀県唐津市在住。

若者優遇時代に取り残されたオジサン世代

──本書は「格差」を多角的に取り上げています。この中で、もっとも「見落とされている格差」だと思うのは何ですか?
中川 メディアが問題視する格差は、学歴・年収・雇用形態・性的マイノリティーといったリベラル文脈に偏りがちです。けれど世の中の格差はそれだけではありません。「方向音痴かどうか」「酒が飲めるか飲めないか」「都会か田舎か」「情報弱者か情報強者か」──日常に潜む格差は無数にある。こうした話題を持ち出すと「もっと重要な問題があるだろ!」とキレられる。日常の格差に悩んでいる人は少なくありません。

──仕事に関する格差もさまざまですね。
中川 オジサン世代については、もはや諦めもあると思います。2020年代は新卒を含めた若手が金の卵扱いされる一方、当時人数だけは多かったオジサン世代の就活は厳しかった。待遇の悪い会社に入らざるを得なかった。さらに「働かないオジサン」なんて言われたり、実家暮らしは「子ども部屋オジサン」なんて言われる始末です。

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“もやしっ子の都会人”が地方移住で痛感したこと

──現在は佐賀県唐津市に住んでいるそうですね。格差を感じることはありますか?
中川 都会のエンタメや、活気、ダイナミックさについて佐賀の人はうらやましがる面はあるものの、私自身は、こちらに来て「もやしっ子の都会人」だと感じることが多いですね。それこそ、こちらでは、魚をさばく技術、タケノコ掘りの技術、手先の器用さ、なんでも自分で修理できる人が多い。彼らの太い指を見て己のキーボードしか触らない細い指を見ると、格差を感じます。結局、お互いないものねだりなんです。

──「“そこそこ”幸せで生きる」ためには、どうしたらいいのでしょうか?
中川 まず、他人と自分を比較しないことが大事です。あいつは外車に乗っているが、オレは軽自動車だ。あいつは一流大卒だが、オレはFラン出身だ。そんな比較に意味はありません。だって、大谷翔平やリオネル・メッシと自分を比較するかといえば、しないでしょ? 「あいつは別格だ」という気持ちがあるからで、もっと言えば「あいつはオレではない」で終わりの話です。金持ち度合いでいえば、一流アスリートよりもイーロン・マスクのような経営者の方がすごい。だが大谷やメッシがイーロンと自分を比較しているとも思えない。みんな自分の人生を生きているだけです。だからあなたはあなたの人生を生き、死ぬ時に「いい人生だったわ」と思えばいいのです。
(聞き手/程原ケン)

「週刊実話」6月4・11日号より