完璧な大富豪か、夢追う元恋人か――映画『マテリアリスト 結婚の条件』が突きつける“婚活のリアル”【やくみつるのシネマ 小言主義 第298回】

「もし別の人生を選んでいたら…」誰もが抱える“もうひとつの人生”への想像

自分はというと、結婚して35年、今日に至っているんですけど、成り行きで結婚しちゃって、他に選択肢はなかったのかなと思ったりもするわけです。…と言いつつ、結婚しようかどうしようかという渦中にまた飛び込めるかというと、そんな気後れするようなところには絶対戻りたくない。

「もし結婚していなかったら」、「もし子供がいたら」…と別の人生を想像したところで想像もつきません。想像できないことは「ない」のと同じだと思うのです。

で、ルーシー本人はというと、“マテリアリスト”=物質主義者として、他人も自分も冷静に資産価値を見極められるためか、今も独身。完璧な条件の大富豪と、売れない貧乏役者の元カレとの間で揺れるという話です。

実は、自分の知り合いにいるんですよ、こういう娘が。昔はミュージシャンでしたが、今は占い師に。占い師といっても預言者みたいことをするわけでなく、ほぼカウンセラーですね。

年齢は30代後半。それなりに経験も積んでいるので的確なアドバイスができるらしく、かなり稼いでいます。

そして婚活中。彼女とはメシ友なのでよく進捗を聞かされるのですが、これがまぁ一向に決めきれず、“今どき、これほど?”と思えるハイスペック男を振りまくっています。まさにリアル“マテリアリスト”。

というわけで、本作をその娘っこと一緒に見に行ってみようかと。ルーシーの人生の選択を見て、どういう反応をするか楽しみです。

『マテリアリスト 結婚の条件』
監督:セリーヌ・ソン 出演:ダコタ・ジョンソン、クリス・エヴァンス、ペドロ・パスカル 配給:ハピネットファントム・スタジオ 5月29日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開

やくみつる

漫画家。新聞・雑誌に数多くの連載を持つ他、TV等のコメンテーターとしてもマルチに活躍。