薬物OKの“禁断の大会”がラスベガスで開幕。世界新と2億円、その本当の正体とは

◆ 大富豪とテック資本が支える“ステロイド五輪”の本当の正体

フレッド・カーリーはドーピングをしないで大会に臨んだ

では、なぜこんな不条理で胡散臭い大会が、堂々と成立しているのか。その裏側には、スポーツの理想とはまったく別の“資本の論理”が渦巻いている。

この大会を動かしているのは、シリコンバレーの冷徹な投資家ピーター・ティールや、ドナルド・トランプ大統領の長男ドナルド・トランプJr.といった、世界の超大富豪たちだ。彼らは総額39億円という破格の賞金を用意し、金に目が眩んだトップアスリートをラスベガスへと吸い寄せた。選手たちは今年2月からアブダビに集められ、16週間にわたって“薬物強化キャンプ”に参加。テストステロンやステロイドなど、医師の管理下で堂々と投与された。彼らが求めているのは、単なるスポーツの興行収益ではない。アスリートの肉体を使った「人体実験のデータ」なのだ。ティールらの真の狙いは、ホルモン補充療法、アンチエイジング医療、ペプチド治療といった“高額医療ビジネス”の世界的普及にある。薬物で強化されたアスリートの肉体をショーとして見せつけることで、「人間はここまで若返り、強くなれる」というメッセージを市場に叩き込みたいのだ。エンハンスト・ゲームズの本質は、スポーツの進化などではない。巨大な医療産業の広告塔として設計された“資本主義のショーケース”であり、人間の身体を商品化する実験場なのである。

◆ IOC激怒、世界記録ラッシュの嘘…「資本主義の徒花」か

当然、国際オリンピック委員会(IOC)やWADA(世界反ドーピング機関)は「危険で非道徳的」と激怒。世界陸連のコー会長も「参加者は愚か者」と断罪し、出場者への厳罰を予告している。SNSでも「真の記録保持者への侮辱」「命を削る愚行」と炎上する一方、「どこまで強くなるか見てみたい」という人間の生々しい欲望(本音)も飛び交う。主催者は開幕前「複数の世界記録が連発する」と豪語していた。しかし蓋を開けてみれば、薬物強化を受けた選手たちは世界記録の壁にことごとく跳ね返され、基準を上回ったのはゴロメエフただ1人。派手な宣伝とは裏腹に、静かで地味なプールサイドだけが残された。大会側は「今後5年間、選手の健康状態を追跡調査する」と安全性を強調する。しかし、ラスベガスのきらびやかな照明の下で行われたのは、伝統的なスポーツの死であり、資本が人間の限界を買い取ろうとする“新しい産業の見本市”の幕開けだった。この禁断の試みがスポーツの未来を切り開くのか、それとも資本主義が咲かせた一瞬の徒花(あだばな)に終わるのか。世界は今も、冷ややかな視線でその答えを探している。

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