【深淵ホラー劇場:映画界が封印した『G級の神々』】#8後編  新会社EMRJエンターテイメントの野望──『嵐が丘』ホラー化が示す次世代ホラーの未来

レベッカ・J・マシューズ(ベッカ・ヒラニ)のロングインタビューも、いよいよ最終章
4年の歳月を経てベールを脱いだレベッカ・J・マシューズ(ベッカ・ヒラニ)のロングインタビューも、いよいよ最終章へ。中編では、現場主義で磨かれた独学の映画術と、多様性への強いメッセージ性が明かされた。

完結編となる後編では、彼女が2022年に設立した新会社「EMRJエンターテイメント」が描く未来像、そして名作文学『嵐が丘』を大胆にホラー映画化する最新プロジェクトに迫る。さらに、次世代の女性フィルムメーカーへ贈る実践的なアドバイスと、日本で今すぐ観られるプロデュース作品リストを紹介する。

 ■ベッカ・ヒラニの新たなる挑戦、EMRJエンターテイメントの進撃

EMRJエンターテイメントの進撃
ベッカ・ヒラニが中心となり、次世代のジャンル映画を牽引すべく立ち上げられた新会社「EMRJエンターテイメント」は、2022年にその産声をあげた。

設立後、彼女たちは長編ホラー映画『The Monster Beneath Us(足下に潜む怪物)』を発表し、インディーズ映画界において鮮烈なスタートを切った。

 社名に込められた想いについて、ベッカは穏やかな口調で語った。
「EMRJという名称は、実は私の最愛の父の会社名からそのまま受け継いだものです。長年にわたって私の挑戦的なキャリアを無条件で支え、励まし続けてくれた大切な家族への、最大級の敬意と深い愛情を形にしたものです」

 EMRJエンターテイメントは、かつてのプロポーション社同様に、エッジの効いたホラーやスリラーといったジャンル映画の製作を主力事業として位置づけている。一方で、今後はドキュメンタリー映画など新たな分野への事業拡大も視野に入れている。

限られた予算の中でも妥協せず、洗練された作品をコンスタントに世に送り出すことに注力していくという。プロポーション社の初期作品に見られたような、高いメッセージ性と強烈な恐怖表現が融合した新作ホラー映画を、私たちは再び目撃することになりそうだ。 

■文学の名作『嵐が丘』がまさかのホラーに!『ガウンとゴア』シリーズの野望

名作『嵐が丘』がまさかのホラーに!?

EMRJエンターテイメントが放った長編ホラー第1作『The Monster Beneath Us』は、単なるクリーチャー映画の枠に収まらない。人種問題、階級社会の歪み、精神的な葛藤といった現代的テーマを内包し、物語に深みを与えている。 
当初の脚本段階では現代のイギリスを舞台としていた。しかし、ゴシックホラーやコスチューム劇を心から愛するベッカの強いこだわりによって、舞台はあえて19世紀へと変更された。

インディーズ映画において衣装や美術に大きなコストがかかる時代劇を選ぶことは、ビジネス面でも大きな挑戦だ。それでも実現させた事実こそ、ベッカが新会社EMRJに注ぐ情熱の大きさを物語っている。

 現在、EMRJエンターテイメント内部では、多くの刺激的な企画が同時進行している。その中でも特に注目を集めているのが、エミリー・ブロンテの不朽の名作『嵐が丘』を独自の解釈でホラー映画へと変貌させるプロジェクトだ。 

「最新作としてアナウンスしている『嵐が丘:呪われた家(Wuthering Heights: The House of the Damned)』は、私たちが今後さらに力を入れて製作を予定している、クラシック文学と強烈な恐怖表現を融合させた『ガウンとゴア(Gown and Gore)』シリーズの第一弾となります」

 ホラーの世界で活躍するベッカが手掛ける『嵐が丘』である以上、従来の文学映画とはまったく異なる、衝撃的で濃密な作品になることは間違いない。この『ガウンとゴア』シリーズが、今後のホラー映画界をどのように塗り替えていくのか、期待は高まるばかりだ。 


■恐れるな、突き進め!次世代の女性映画製作者たちへのメッセージ


ベッカを中心に一つになる現場
ベッカ・ヒラニが成し遂げてきた一連の成功は、映画界において女性フィルムメーカーが、巨大な資本の後ろ盾がなくても、自らの情熱と知恵によって作品を生み出し続けられるという事実を証明している。

「私がこれまでの型破りなキャリアの中で身を削るように学んできた重要なこと、そしてこれから映画製作の世界へ飛び込もうとしている未来のクリエイターの方々に、経験則として最も伝えたいメッセージがあります」 

ベッカが次世代の女性フィルムメーカー、そしてすべてのインディーズ映画志望者に向けて提示してくれたヒントは、四つの哲学に集約される。

第一に、自らの仕事の進め方やビジネスの野心、最終的な目標が一致し、同じ熱量で志を共有できる最高の仲間たちで周囲を固めること。

第二に、撮影を楽しむだけでなく、完成した映画をどのような戦略で世界市場へ流通させ、配信サイトや観客に届けるのかという出口戦略を徹底的に考えること。

第三に、製作の途中でどれほど困難に直面しても、決して諦めずに前へ進み、何があっても作品を最後まで完成させること。

そして第四に、現場や人生で起きるどんな問題であっても、解決策は必ずどこかに存在するという信念を持つことだ。

 レベッカ・J・マシューズという映画界の異端児の存在は、映画作りを志す人々に対して、成功への道は一つではないという大きな希望を与えてくれる。

4年の歳月をかけて彼女から引き出したこの言葉が詰まった渾身の記事が、映画を愛する多くの人々の心に深く届くことを願っている。(終)

 🎬 日本で今すぐ視聴可能なベッカ・ヒラニ(レベッカ・J・マシューズ)プロデュース作品リスト 🎬

映画ファン必見の、日本国内の主要ストリーミングサイトやAmazonプライムで今すぐチェックできるプロデュースホラー映画一覧。インディーズ・ホラーの魅力を、その目で確かめてほしい(※出演のみの作品は除外し、プロデュース・監督として深く関与した作品のみを掲載)

  • デス・トラップ 仮面を被った復讐者 (Fox Trap) ── ※出演兼任
  • ヘブン・イン・ザ・ヘル (Unhinged) ── ※出演兼任
  • マンディ 呪われた人形 (Mandy the Doll)
  • マザー・クランプス クリスマスの魔女 (Mother Krampus) ── ※出演兼任
  • ザ・マミー リボーン (Mummy Reborn) ── ※出演兼任
  • ファイナル・スクリーム (The Final Scream) ── ※出演兼任
  • キャンディ・ウィッチ (The Candy Witch) ── ※監督兼任
  • ウィッチバトル 女たちの戦い (Witches of Amityville Academy) ── ※監督兼任
  • ジュラシック・ウッズ (Hatched) ── ※監督兼任
  • サイレント・プレイス (Don't Speak)
  • キューピッド (Cupid)
  • ジェラシー 出会い系アプリの罠 (Graphic Desire)
  • 美しすぎる姉妹 (Shades of Desire)
  • ザ・ガーディアン 狂暴の美学 (The Gardener) ── ※出演・監督兼任
  • ネス湖の巨大生物 ネッシーを捕獲せよ!! (The Loch Ness Horror) ── ※出演兼任
  • 混沌 (Reign of Chaos) ── ※監督兼任


〇EMRJエンターテイメント公式サイト:https://www.emrj-entertainment.com   
〇EMRJエンターテイメント公式インスタグラム:https://www.instagram.com/emrjentertainment/
〇ベッカ・ヒラニ公式インスタグラム:https://www.instagram.com/beccahirani/
〇ベッカ・ヒラニ公式フィルモグラフィー(IMDb):https://www.imdb.com/name/nm2467058/

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インタビュー・本文/紗さ綺ゆがみ