18歳の美空ひばり、未発表音源が70年ぶりに甦る——“歌謡界の女王”の超人伝説が再び動き出す



命を削ってマイクの前に立ち続けた「歌は我が命」の生き様

美空ひばり「うたの宝石箱」
美空ひばり氏の凄さは、その天才的な才能だけでなく、壮絶なまでのプロ根性にある。19歳の時には劇場でファンから塩酸をかけられ重傷を負うという、現在の芸能界では考えられないほど凄惨な事件にも巻き込まれた。

しかし、彼女は恐怖に屈することなく、すぐにステージへと復帰してファンを魅了し続けた。晩年、重い病に侵され満身創痍となりながらも、1988年に東京ドームのこけら落としとして開催された「不死鳥コンサート」では、5万5千人の前で全39曲を命を削るようにして歌いきった。

1989年に52歳という若さで亡くなった後、女性として初めて国民栄誉賞が贈られた理由は、単に歌が上手かったからではない。泥泥とした戦後日本を、その歌声一本で文字通り照らし、人々の心を励まし続けたからである。

AIでも再現できない「本物の歌力」に触れるチャンス

昨今、AI技術によって過去の偉人の歌声を再現する試みなども話題となったが、今回世に放たれるのは、18歳の美空ひばりという生身の人間が、昭和のスタジオで確かに放った本物のマスターテープの音源である。

美空ひばりを古い時代の歌手と敬遠していた若い世代にこそ、この圧倒的な安定感の中に宿る新鮮な煌めきを体感してほしい。そこには、いまなお誰も超えることのできない女王の証明が刻まれている。

今回発掘された未発表オリジナル音源『二人きりで』は、日本コロムビアより、美空ひばりの命日である6月24日に発売される芸能生活80周年記念BOX「うたの宝石箱」にボーナス・トラックとして収録されると同時に、配信シングルとしてもリリースされる。

また、本楽曲は5月21日(木)に大和市文化創造拠点シリウスにて公開収録が行われるNHK「新・BS日本のうた」の6月7日(日)放送回にて披露されることも決定している。

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