検挙者1万2178人 仮装身分捜査・国際連携・法改正で挑むトクリュウ包囲網最前線レポート

東南アジア4カ国で54人を一斉検挙

トクリュウと海外の犯罪組織が結託し、東南アジアなどの海外拠点から日本にいる被害者に電話をかけて特殊詐欺を働いたり、日本にいる実行犯に電話をかけて強盗や窃盗をしたりするケースに対応するため、警察は海外の捜査機関との連携を深めている。

警察庁は、東南アジアを中心に、現地の捜査機関が海外の拠点を摘発したり、トクリュウのメンバーを逮捕した場合、捜査員が現地に赴いて情報収集や現地の捜査当局と協議する体制の構築を進めている。

「都道府県警は'25年、現地の捜査当局との連携により、タイ、カンボジア、フィリピン、マレーシアの拠点で活動していたトクリュウのメンバー54人を検挙しました」(同)

また、パソコンに「ウイルスが感染した」とのメッセージを送るなどしてサポート料金を騙し取るサポート詐欺を巡っては、インド当局との国際共助捜査を実施して2拠点を摘発、インド人6名を逮捕した。

口座売買の罰則を3倍超に引き上げ

法整備も強化される。これまで口座不正売買は、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金だったが、政府は今年4月、罰則を3年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金に引き上げる犯罪収益移転防止法の改正案を閣議決定し、国会に提出。送金バイトの依頼や実行役にも「2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金」を科す規定も盛り込まれた。

高校生の7割が闇バイトを見分けられず

東京・渋谷では官民連携による闇バイト対策「渋谷闇バイトゼロプロジェクト」が始まった。求人サイト『バイトル』の運営会社・ディップと一般社団法人渋谷未来デザインが共催、渋谷区が後援、警視庁匿名・流動型犯罪グループ対策本部が協力している活動だ。

ディップの「2026年闇バイトに関する調査」によると、高校生の9割が闇バイトという言葉を知りながら、7割が「求人広告を見て闇バイトと判別できなかった」と回答した。

警視庁匿名・流動型犯罪グループ対策本部幹部は「(トクリュウ対策は)警察から企業へ協力を依頼することが多いが、今回は民間企業側から能動的に始まった非常に素晴らしい取り組み。闇バイトの本質は、『犯罪実行者募集情報』であり、一度関われば『使い捨て』にされる。1人で悩まず困った時には迷わず警察に相談してほしい」とのメッセージを出した。