AEWはゼロが1つ違う!? 蝶野正洋が語る“海外マネー”に揺れる日本プロレス界の現実【蝶野正洋の黒の履歴書】

WWEに忍び寄る不穏な影

一方でWWEには、暗雲が立ち込めている。4月に年間最大イベント「レッスルマニア」を控えているが、そのチケットがあまり売れてないらしい。いつもはレッスルマニアに便乗して、近くの会場でさまざまな興行やイベントが行われるんだけど、それも軒並み中止になっている。俺もラスベガスで行われるコンベンションのオファーがあったんだけど、イベント自体がキャンセルになってしまった。

あと、WWEは次世代のスターが育っていないという問題がある。それは新日本プロレスも同じで、ファン以外の世間に届くような選手がいない。そういう意味では今、新日本で最も知名度があるウルフアロン選手は、大切に育てたいはず。今度ABEMAで「ウルフアロンから3カウント取ったら1000万円」という企画をやるみたいで、そういう売り出し方もアリだと思う。

ただ、有名になったらなったで、また海外団体から一本釣りされてしまうかもしれないよ。オリンピックの金メダリストという肩書は、世界でも通用するだろうからね。

カネで対抗できないなら、もっと新日本プロレスならではの魅力を高め、所属意識を強くするべきなんだけど、今の新日は、それもあまりうまくいってないようだ。体を張って頑張っている選手に対するケアが不十分だし、団体のレガシーを大事にする姿勢もない。

ここを高めていけば、巨額の契約金に匹敵するくらいの強みになるんだけどね。

蝶野正洋(ちょうの・まさひろ)

1963年シアトル生まれ。84年に新日本プロレス入団。「nWo JAPAN」を率いるなど〝黒のカリスマ〟として活躍し、2010年に退団。現在はプロレス関係の他に、テレビやイベントに出演するタレント活動、「救急救命」「地域防災」などの啓発活動にも力を入れる。