キャンディーズ『微笑がえし』が映す“同棲解消”という1978年のリアル【スージー鈴木の週刊歌謡実話第30回】

シングル売上が約83万枚の大ヒット

そんな風景を描いた「同棲歌謡(フォーク)」の代表作は、何といってもかぐや姫『神田川』(’73年)ですが、布施明『積木の部屋』(’74年)やチューリップ『サボテンの花』(’75年)も忘れられません。

しかし『微笑がえし』が特異なのは、同棲を解消して、アパートを引き払う日を舞台にしていることです。

「机本箱 運び出された荷物のあとは 畳の色がそこだけ若いわ」――まぁ何とリアルで切ない「同棲解消アパート引き払い歌謡」でしょうか。

当時、台頭していたピンク・レディーは小学生のファンが多かったのですが、対してキャンディーズに多かった「同棲解消アパート引き払い感覚」が通じる大学生ファン(その中の1人が慶応大学の石破茂くん)を意識しているようにも感じるのです。

そんな『微笑がえし』。歌詞の特異さに合わせるように売れ方も特異でした。

約83万枚のシングル売上は、オールキャリアでダントツ。そしてラストシングルにして初、そして念願のチャート1位を獲得するのです――と、今でもありありと思い出せる劇的な解散劇がもう48年前かぁ。

「週刊実話」4月23日号より

スージー鈴木/音楽評論家

1966(昭和41)年、大阪府東大阪市出身。『9の音粋』(BAYFM)月曜パーソナリティーを務めるほか、『桑田佳祐論』(新潮新書)、『大人のブルーハーツ』(廣済堂出版)、『沢田研二の音楽を聴く1980―1985』(講談社)など著書多数。