社会

コロナ禍でイライラ!? 富裕層たちの“大爆買い”に仰天!~企業経済深層レポート

(C)週刊実話Web

内閣府が発表した2020年度のGDP(国内総生産)の伸び率は、前年度比4.6%減、リーマンショックが起きた08年度の3.6%減を上回り、比較可能な1975年度以降で最大の下落となった。

また、大手信用調査会社の「東京商工リサーチ」によると、20年の全国における飲食業の倒産件数(負債額1000万円以上)は、前年比5%増の842件と過去最多を記録した。

この背景には、昨年初頭からの新型コロナウイルス感染拡大で、国内外旅行や外食などを中心に消費が低迷した影響がある。しかし、こんな厳しい経済環境にもかかわらず、一部の高額商品は昨年から売れ行き好調だという。

例えば、このところ経営悪化が伝えられる大手百貨店だが、高額商品に限っては逆に、前年より売り上げが伸びている。いったい何が起きているのか。経営コンサルタントが〝高額商品バブル〟が生じている理由を解説する。

「まず、日本の富裕層が増加していることが挙げられます。次がコロナ禍による消費の変化、そして、投機目的での不動産購入が増えていることです」

野村総合研究所が昨年公表した統計では、国内で5億円以上の資産を持つ「超富裕層」は、19年に8万7000世帯、その総資産は97兆円にのぼるという。これは17年と比較すると、超富裕層が約3000世帯増え、資産総額も13兆円増えたことになる。さらに、通称〝億り人〟といわれる億万長者、1億~5億円の資産を持つ富裕層も対17年比較で6万世帯増え、124万世帯にのぼっている。

「超富裕層と富裕層を併せた資産総額は300兆円を超え、17年と比較すると11%も伸びている。この富裕層以上のお金がコロナ消費の変化で、高額商品に流れていると思われます」(同)

出かけられなくなった富裕層

では、コロナ禍における「消費の変化」とは何か。

「これまで海外旅行に出かけ、ニューヨークやパリで買い物をしていた大都市在住の富裕層が、コロナ禍で一斉に行動を制限されました。そのため、この人たちが東京、大阪などの大型百貨店、宝飾品販売店などでVIP待遇を受け、高額商品を購入する傾向が強まったのです」(同)

一方、地方の富裕層や準富裕層は近郊の大都市に足を伸ばせなくなり、そのため地元のブランドショップや地方百貨店などで散財するようになった。地方では宝飾品や美術品がよく売れ、高級車の販売や高級旅館の予約も好調だという。

「そんな中、一般消費者は外出自粛などもあり、ネット通販に比重を置くようになった。つまり、本来は海外で使われるはずのお金が大都市に、大都市で使われるはずのお金が地方に、地方で使われるはずのお金がネットに流れるようになったのです」(同)

そして、投機についてはどうだろうか。

「まずは不動産です。東京メトロ有楽町線の東池袋駅に直結する地上36階、地下2階建てのタワーマンションは、昨年9月に115戸が売りに出された。価格は1億1000万円ですが、1週間で完売となり関係者を驚かせました」(経済誌記者)

交通利便性の高さと生活環境の快適さで、富裕層が殺到した物件だが、投機対象として購入したケースも多かったという。

「JR原宿駅の周辺では1戸67億円の超高級マンションが売り出され、外国人に人気の北海道ニセコでは20億円台の分譲別荘が建設されるなど、富裕層向け不動産の動きは活発です」(不動産関係者)

コロナ収束後はもとに戻る!?

また、コロナ禍や半導体不足などで、国内の自動車大手は業績不振にあえいでいるが、日本における高級外車に限っては、むしろ逆の傾向が見られる。例えばポルシェの場合、20年の世界新車総販売台数は約27万2000台と前年比3%減となり、10年ぶりに前年実績を下回った。しかし、日本では過去最高の7284台を販売し、前年比1.3%増となっている。

前述したように百貨店の高額商品は売れている。日本百貨店協会によれば、21年3月における紳士服部門の売上高は前年比22.3%減で、全体的には厳しい数字だ。しかし、百貨店関係者が指摘する。

「富裕層をターゲットとした高額メンズ商品は、伊勢丹新宿本店の外商などで売れています。ディオール、ジル サンダー、ドルチェ&ガッバーナなど高級ブランドの売り上げは、前年比20~30%増しです」

高級腕時計の販売も活況を呈している。

「東京、横浜などの百貨店では、70万円超のオメガや250万円超のフランクミュラーなどが売れています。関西も同じ傾向で、大阪市の『阪急うめだ本店』では、昨年8月~12月においてロレックス、オメガなどが売り上げ好調で、前年同期比40%増を記録しました」(同)

しかし、高額商品の売れ行きも、コロナが収束すると果たしてどうなるか。富裕層の消費束縛が解かれれば、一斉に世界に散る可能性は高い。大手百貨店や輸入車ディーラーなどが、新たな戦略の立て直しを迫られるのは必至だ。

あわせて読みたい