© 2026 映画『90メートル』製作委員会
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進学か介護か…揺れる息子の決断 難病の母と生きる日常を描く『90メートル』のリアル【やくみつるのシネマ 小言主義 第295回】

菅野美穂の凄みに圧倒

しかし、この映画でここまで心動かされるのは、ひとえに菅野美穂の強烈な芝居によるものかと。命をかけて息子の将来を想う母親の凄みさえ感じました。

だんだん声帯も弱っていって声も出しにくくなるくだりなど、どのように役作りをしたものか、その迫真ぶりに見入ってしまいます。

そして、この母子に親身になって寄り添うケアマネジャー役の西野七瀬。別のテレビドラマで見たときに、なんと優しい喋り方をする人なんだと注目していました。この職業に対するリスペクトを感じましたね。

いつの日か自分がお世話になるときは、西野七瀬なら心持ちが違いそう。…と、つい自分に引き寄せて考えてしまうのは年齢のせいもありますが、深刻な症状ではないものの、カミさんが膝だか足首だかにメスを入れる可能性が出てきたことも関係あるかと。

自分は、洗濯機の回し方も知らず、ましてや佑のようにカレー用のジャガイモを切る技術もない。映画で「外食ばかりしてちゃダメよ」と言われるシーンがありますが、かなり心がざわつきました。

つまり、身につまされ過ぎて、とてもエンタメ作品としては見られなかったというわけです。

「週刊実話」4月16日号より

『90メートル』
監督:中川駿 出演:山時聡真、菅野美穂、西野七瀬、南琴奈、田中偉登 配給:クロックワークス 新宿バルト9ほか全国公開中

やくみつる

漫画家。新聞・雑誌に数多くの連載を持つ他、TV等のコメンテーターとしてもマルチに活躍。