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『ゴースト・レストラン』急増の裏事情…保健所も把握できない多事多難

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電話やネットからの注文に応じて、食事を調理してデリバリーする飲食店『ゴースト・レストラン』が急増している。

この形態は米国ニューヨークが発祥。日本ではコロナ禍の前から、大手外食チェーンが展開していた。

「新型コロナウイルスの感染拡大で巣ごもり状態が続き、ゴースト・レストランも注目を浴びるようになった。時短で売り上げが激減した居酒屋なども、新規参入しています」(飲食店アドバイザー)

ゴースト・レストランは店舗を設けず、デリバリーやテイクアウトに委ねる営業スタイル。そのため、出店費用や人件費、運営費が大幅にカットできる利点がある。

「うちは自分の店の名前でやっても客を呼べる自信がないので、ゴースト・レストランは別の名前ですが、ちゃんと店で調理したものを宅配サービスに依頼しています。でも、近くの大衆酒場はカレーやハンバーグ、オムライス、海鮮丼、さらにはタピオカ専門店と宣伝している。いつ専門店になったのか不思議です」

ネットの検索に引っかかりやすい“専門店”

東京都江戸川区内の居酒屋店主は首をひねるが、ネット関係者によると、1店鋪で30業態(=30店名)も営業しているゴースト・レストランもあるという。

「実は専門店だと、ネットの検索に引っかかりやすい。それに業態が多いほど、アクセスの窓口が広くなる。専門店を名乗っていればハズレはないと思って、どんどん利用者が増える仕組みになっているんです」(フードライター)

「実際、いくつかの専門店とうたっていながら、1人ですべて料理している店もある。そのため『見かけからして違う』とか『味と価格が釣り合わない』と利用者からのクレームも多い。衛生面にも不安があり、飲食店を管轄する保健所も実態を把握していませんから、泣き寝入りするしかないんです」(同)

食べ物の恨みは恐ろしい。今後、怪しげな店が淘汰されることを願う。

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