なぜ彼女は消えたのか──倉田まり子『グラジュエイション』と“早すぎたデビュー”【スージー鈴木の週刊歌謡実話第29回】

投資ジャーナル事件が奪ったキャリア

あと、倉田まり子といえば「投資ジャーナル」「中江滋樹」という文字列を思い出す人が多いことでしょう。

’85年、「投資ジャーナル事件」という詐欺事件で逮捕された中江滋樹とのスキャンダルが報じられた結果、倉田まり子は芸能界引退に追い込まれたのでした。

ただ、のちの中江のインタビューによれば「4、5回食事をしただけの関係」で「会長、軽く倉田さんの肩に手をかけてください」と言われて撮られた写真が、写真誌に売り飛ばされただけとのことなのですが――。

しかし、現在の倉田、改め「坪田まり子」のサイトを見ると驚きます。何と「プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー」として大成、東京学芸大学特命教授まで務めているらしい。

そう考えると、芸能界からグラジュエイションしたことも、その後の第二人生=「第二倉田」には、良かったのかもしれません。

最後に余談。都倉俊一は2021年から文化庁長官を務めていましたが、この3月末での退任=グラジュエイションが決定。

文化庁といえば最近、国立の博物館・美術館に収入目標を設定することを発表して、批判を浴びたばかり。果たしてどんな舞台裏があったのか、都倉俊一の口から話してほしい、いや歌ってほしいと思うのです。

「週刊実話」4月16日号より

スージー鈴木/音楽評論家

1966(昭和41)年、大阪府東大阪市出身。『9の音粋』(BAYFM)月曜パーソナリティーを務めるほか、『桑田佳祐論』(新潮新書)、『大人のブルーハーツ』(廣済堂出版)、『沢田研二の音楽を聴く1980―1985』(講談社)など著書多数。