30万枚ヒットの仕掛けが台無しに! 山口百恵『美・サイレント』伏せ字解禁の失敗とAdo騒動【スージー鈴木の週刊歌謡実話第28回】

伏せ字解禁した『ザ・ベストテン』の衝撃

そもそも、宇崎竜童作曲、阿木燿子作詞による山口百恵の曲には、変な曲が多かったのでした。

タイトルからして「巻き戻し再生歌謡」の『プレイバックpart2』、「♪はっきりカタをつけてよ」と啖呵を切る「恫喝歌謡」の『絶対絶命』(ともに’78年)など、コミックソングすれすれ。そしてこの「伏せ字歌謡」!

そんな策略に、私含むみんながまんまと乗せられた結果、30万枚を超えるヒットとなったのです。

しかし。人気音楽番組=TBS系『ザ・ベストテン』が余計なことをしてくれました。伏せ字は「情熱」「ときめき」という言葉だと解明。曲が伏せ字部分に来ると、それらの言葉をテロップに出して放送したのです。

その瞬間のがっくり感たらありません。なぜなら、エロい名詞を入れて盛り上がっていたのは、分からないからですよ。分かってしまったら一巻の終わり。それも「情熱」「ときめき」みたいな普通の言葉だったなんて――。

と、47年前、一気に興ざめしたことをAdoの一件で思い出したのでした。

『美・サイレント』の伏せ字は解読しないほうが良かった。だからAdoも顔出しなんてしないほうがいい。隠しているうちが花なのです。何事も。

「週刊実話」4月2・9日号より

スージー鈴木/音楽評論家

1966(昭和41)年、大阪府東大阪市出身。『9の音粋』(BAYFM)月曜パーソナリティーを務めるほか、『桑田佳祐論』(新潮新書)、『大人のブルーハーツ』(廣済堂出版)、『沢田研二の音楽を聴く1980―1985』(講談社)など著書多数。