【3・19開幕】東洋大姫路vs花咲徳栄“23年ぶり再戦” 大谷・ダル…春の甲子園を焦がした勝負録【選抜高校野球名勝負・前編】

 

■第76回大会(2004年) ダルビッシュが涙した「魔の9回」

2004年春のセンバツ準々決勝、東北(宮城)vs済美(愛媛)。東北は優勝候補筆頭と目されていた。チームの絶対的エースは、のちに世界的投手となるダルビッシュ有。ただ、この試合で先発マウンドに立ったのは右腕・真壁賢守で、右肩を痛めていたダルビッシュは外野の守備に就いていた。

9回表を終えてスコアは6対2。東北が4点をリードしていた。スコアボードだけを見れば、東北の勝利は揺るがないように思えた。

しかし、甲子園の“魔物”はそこから牙を剥く。9回裏、済美の猛攻で点差はじわじわと詰まり、二死一、二塁の場面で打席に立ったのが「愛媛の怪物」高橋勇丞だった。真壁が投じたボールを高橋が完璧に捉えた打球は、左翼を守るダルビッシュの遥か頭上を越え、スタンドへと消えていく逆転サヨナラ3ランとなった。

マウンド上で打たれたのはダルビッシュではない。それでも、レフトを守っていたダルビッシュは、その打球をただ見送るしかなかった。

試合後、帽子を深くかぶり直し、涙をこらえるようにうつむいたダルビッシュの姿は、「怪物」と呼ばれた男が初めて甲子園の厳しさに膝を折った瞬間として、今も多くのファンの記憶に刻まれている。

■第84回大会(2012年)1回戦 世界を制する大谷翔平と藤浪晋太郎の「原点」

2012年春のセンバツ1回戦、大阪桐蔭(大阪)vs花巻東(岩手)。藤浪晋太郎と大谷翔平、のちにメジャーを席巻する二人が初めて甲子園で相まみえた試合である。

2回、最初の対決でバットを振り抜いたのは大谷の方だった。藤浪の速球を捉えた打球は右中間スタンドへと突き刺さる特大の一発。甲子園全体がどよめくようなホームランだった。その後も藤浪と大谷は何度も対峙し、球場の空気を支配した。

それでも試合を制したのは大阪桐蔭だった。藤浪は9回を投げ抜き、12奪三振の力投で完投勝利を収める。一方の大谷は11与四死球と制球に苦しみながらも150キロ台のボールを投げ込み、「未完の大器」としての片鱗を見せつけた。泥にまみれ、敗戦に唇を噛んだ大谷の姿は、その後の二刀流としての進化を加速させる火種となった。

【選抜高校野球名勝負・後編】へ続く

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