桑田佳祐が生んだ名曲! 研ナオコ『夏をあきらめて』38万枚ヒット秘話

大盛り上がりだった’82年の『NHK紅白歌合戦』

さて、研ナオコという人は歌も達者な人で、その歌唱力で70年代後半には「中島みゆき歌謡」をヒットさせ(代表は’76年、チャート1位に輝いた『あばよ』)、世間に中島を紹介する役割を果たしたのです。

ただ研ナオコ版『夏を~』は、ちょっと歌い方のクセが強すぎて、私はやはりサザン版を選びたくなります。どんな歌い方のクセだったか、それはフジテレビ系『ものまね王座決定戦』における清水アキラの物まねを思い出してください(ここも知っている人だけ苦笑を)。

というサザン『チャコの~』と研ナオコ『夏を~』ですが、’82年のNHK紅白歌合戦で続けて歌われます。

このときのサザンは、そりゃもうお下品。三波春夫のお下品な物まねをしながら、お下品な化粧、お下品なポーズで、26歳・桑田佳祐、やりたい放題。

また間奏で桑田佳祐自身のMCもまた大変。

――「国民の皆様、ありがとうございます。我々放送禁止も数多くございますが、こうやって、いけしゃあしゃあとNHKに出させていただいております。とにかく、受信料は払いましょう! 裏番組はビデオで見ましょう!」

そんな大騒ぎに続いて、しずしずと研ナオコが出てくるのですが、紅組司会・黒柳徹子の紹介がいい。

――「桑田さん、この曲をありがとう。今年この曲で研さんは大ヒット。愛のおつかい『E.T.』という新しいニックネームについては親しみを感じるそうです」

おお、映画『E.T.』もこの年だったか。清水アキラ同様、こちらもかなり似てるな…。

「週刊実話」3月19日号より

スージー鈴木/音楽評論家

1966(昭和41)年、大阪府東大阪市出身。『9の音粋』(BAYFM)月曜パーソナリティーを務めるほか、『桑田佳祐論』(新潮新書)、『大人のブルーハーツ』(廣済堂出版)、『沢田研二の音楽を聴く1980―1985』(講談社)など著書多数。