「富士そば」に人生フルベット! “珍そば”600食を追う男の執念

富士そばの奇丼「クーリッシュホイップかつ丼」(C)週刊実話Web

珍そば600食の狂気レビュー

これまでに集めた店舗限定メニューは600食以上(2月25日現在)。それらは、ブログ『富士そば原理主義』(fujisobamania.com/)にて国立富士そば博物館の展示品のように閲覧できるというので少し覗いてみる。

なるほど、見た感じはそばやかつ丼の普通の写真が並んでいるが、詳細をよく見てみると「クーリッシュホイップかつ丼」「インフィニティコロッケそば」など、目を疑うようなクリエイティブの残滓がそこら中に転がっている。さらにそのレビューが素晴らしい。

〈予備知識なしの目隠し状態であれば、そのまま食べ進められる味ではある。けれども、両者が調和しているとは言い難く、アイスとかつ丼が完全に別居している〉(クーリッシュホイップかつ丼より)。表現力、創造性、そして忖度しないお宝としての価値を求めた美しいレビューは、彼の本業が研鑽を積んだライターであることを物語る。

しかし、彼の主戦場は企業パンフレットや公的機関の出版物であり、富士そばを仕事にはしていない。なぜならこの富士そば登山にまつわるすべての行動は、富士そば非公認。いわば未報酬の完全趣味なのである。

「いや…意図して仕事にしていないわけじゃないんですけど…仕事にならないんですよ。富士そばの、しかも珍そばですからね。狭すぎました。ならばこれで食うためにと富士そばに取り入って公式寄りになればとも言われるのですが、僕は珍そばに正直でありたい。仲良くしていただける店の方はいますが、一線は越えないように気を付けています。『ダメなものはダメ』としっかりレビューできなければ、僕の存在価値はありません。ただ10年以上やっていると、どんなことでも認められてくるんですね。最近ではテレビや雑誌などから『話を聞かせてほしい』と仕事が少しですけど入ってくるようになった。1回特集すれば十分なので、それ以上は広がらないのですけど」_(中編へ続く)

取材・文/村瀬秀信

「週刊実話」3月19日号より