第2の『シェンムー』になるのか──『龍が如く』生みの親・名越スタジオ、新作が「70億円の壁」と中国資本の撤退に直面

「70億円」の壁──そして"第2のシェンムー"という記憶

『GANG OF DRAGON』は、新宿歌舞伎町を舞台に、俳優マ・ドンソクをモデルとした主人公が活躍するアクション・アドベンチャーだ。

発表時には「名越作品の真骨頂」とファンの期待が高まった。しかし、完成までに必要とされる追加資金は「70億円」。その数字が、ゲームファンにある歴史を否応なく思い起こさせる。

1999年発売の『シェンムー 第一章 横須賀』。当時としては異例の制作費70億円規模とされ、最新技術と精緻な作り込みでゲーム史に名を刻んだ。

しかし続編はセールスが伸びず、シリーズは長期凍結。巨大プロジェクトゆえの「重さ」が常に語られてきた作品だ。名越スタジオが直面する「70億円」という数字は、その記憶と不気味なほど重なる。

かつて数億円で作られていたゲームは、技術の高度化と開発期間の長期化により、今や巨大プロジェクトへと変貌している。高精細映像を支える膨大な人件費、5〜7年に及ぶ開発期間、国際的スターの起用に伴う費用。クリエイターの情熱だけでは越えられない壁がそこにある。

ネット上には、落胆と祈りが入り混じった声が並ぶ。「名越さんの新作を見たかった」「マ・ドンソクがゲームに出るなんて夢だったのに」「日本のメーカーが支援できないのか」。単なる不満ではなく、名越氏の作品を愛してきたファンの「祈り」が滲む。

揺れる独立スタジオ──それでも続く挑戦

今回の騒動で浮き彫りになったのは、ゲーム制作が資本の論理に大きく左右されるという現実だ。クリエイターが自由に表現を追求することは、理想であっても、資金が尽きれば続けられない。

一方で、同じくNetEaseの支援を受けながら独自の道を切り開いた例もある。PinCoolはマルチプレイゲームをリリースして高評価を獲得し、グラスホッパー・マニファクチュアも2026年2月の新作でヒットを記録した。セルフパブリッシングという道も、完全に閉ざされているわけではない。

名越スタジオも新たなスポンサーを探し続けているが、現時点で成果は出ていない。NetEase側は「独立継続は可能」としつつも、開発済みの資産やブランドを保持するには相応の費用負担が必要だと条件を提示している。道は残されている。しかし、その道は険しい。

迫る期限──『GANG OF DRAGON』は日の目を見るのか

資金提供の期限である5月は刻一刻と近づいている。『GANG OF DRAGON』が完成へ向けて再び動き出すのか、それとも中国資本撤退の象徴として語られる存在になるのか。ファンはただ祈るしかない。

かつて名越氏が描いた物語の主人公たちがそうであったように、本当のドラマは、絶望の淵に立たされてから始まるのだから。