「唆す」なんて読む? 言葉にまつわる由来と豆知識 【難読漢字よもやま話】


狡猾な耳打ちにはご用心!

正解は「そそのかす」です。

【唆すの語源と漢字の由来】

「唆す(そそのかす)」は、おだてたり、もっともらしい理屈を言ったりして、ある動作をするように仕向けることを意味します。

漢字の「唆す」には、言葉による鋭い働きかけが反映されています。「口」は、そのまま口から出る言葉、話すことを表しています。「唆(さ)」の右側の部分は「鋭い」「突き刺す」といった意味を含んでおり、相手の心の隙間に言葉を差し入れる様子を表しています。

語源については、相手を急がせる、あるいは落ち着かなくさせる「そそ(楚楚)」という言葉に、動詞化する接尾語「かす」が付いたものという説や、「そそ(唆)」という擬態語に由来する説などがあります。

【唆す(そそのかす)のトリビア】

●「悪いこと」に使われがち
本来は「やる気にさせる」という中立的な意味もありましたが、現代では「泥棒を唆す」「反乱を唆す」のように、道徳に反する行為へ誘い出すネガティブな文脈で使われるのが一般的です。

●「教唆(きょうさ)」という法律用語
他人に犯罪を実行する決意をさせることを「教唆」と言い、これを行った人は「教唆犯」として、実際に手を下した者と同じ刑に処されることがあります。

●「唆す」の類語たち
似た意味の言葉に「煽り立てる」「おだてる」「焚き付ける」などがあります。特に「焚き付ける」は、火を燃やすように相手の感情を激しくさせる、より攻撃的なニュアンスです。
ちなみに、「煽り立てる」との違いはどちらも相手を動かしますが、「煽る」が感情を高ぶらせて勢いをつけるのに対し、「唆す」は、迷っている背中を言葉巧みに押して、その気にさせるという知的な「誘導」のニュアンスが強くなります。

●「おだて」に弱い心理
心理学的には、人は承認欲求を刺激されると、客観的な判断力が鈍りやすくなります。「君にしかできない」と唆されるのは、古今東西変わらぬ人間心理の隙を突く手法です。

●「耳に心地よい言葉」に注意
唆される時は、大抵自分にとって都合の良い話や、自尊心をくすぐる言葉が使われます。古人は「良薬は口に苦く、忠言は耳に逆らう」と説き、自分を唆す言葉を警戒しました。