石野真子17歳が8時間の大絶叫! 吉田拓郎作曲のデビュー曲『狼なんか怖くない』レコーディング裏話

「この子がアイドルに?」拓郎が感じた第一印象

レコーディングの経緯は、石田伸也『吉田拓郎疾風伝』(徳間書店)にある、石野真子本人へのインタビューに詳しい。まず電話越しに吉田拓郎自身が歌うデモテープを聴いたときの感想がいい。

――「これが私のデビュー曲なんだ。なんてやさしい歌声なんだろう」

しかし東京で吉田拓郎本人と会うと、

――「私はまだ17歳で丸々と太っていて、拓郎さんは『この子がアイドルに?』って表情をされていました。私はそれからレタスばっかり食べてのダイエット。レコーディングまでには絶対に痩せようと思っていました」

そして、いよいよレコーディングの日。慣れないせいか1曲録るのに8時間もかかってしまう。

――「拓郎さんはレコーディングにもいらして、歌い方をアドバイスしてくれました。私も必死だったから『おそろしく大きな声だなあ』って笑われたのを憶えています」

それにしても声量を誇る当時の吉田拓郎に「おそろしく大きな声」と言わせる石野真子はすごい。

そんな天性の伸びやかな声も武器にしながら石野真子は、ブレイクしていくのでした。

そして今、石野真子65歳。吉田拓郎はもうすぐ何と80歳。まだまだ元気な2人に、狼どころか、何も怖いものなどないでしょう。

「週刊実話」3月5・12日号より

スージー鈴木/音楽評論家

1966(昭和41)年、大阪府東大阪市出身。『9の音粋』(BAYFM)月曜パーソナリティーを務めるほか、『桑田佳祐論』(新潮新書)、『大人のブルーハーツ』(廣済堂出版)、『沢田研二の音楽を聴く1980―1985』(講談社)など著書多数。