高木美帆が魅せる16年目の集大成。1000メートルで“究極の機能美”が完成する

画像はAIで生成したイメージ

2月10日から14日にかけて、ミラノ・コルティナ五輪では平野歩夢、高木美帆、鍵山優真など日本スポーツ界を象徴する3人が、それぞれの“逆境”と“宿命”を胸に氷と雪の舞台で己の限界に挑む。

骨折を抱えながらも立ち上がる者。父から受け継いだ夢の続きを歩む者。16年の歳月をかけて究極の滑りを追い求める者。この数日間、ミラノの夜空には、三つの物語が交差しながら放つ、最も眩い光が宿る。

そして、その先陣を切るのが高木美帆である。

氷上の求道者がミラノで刻む「究極の美」と金メダルヘのラップタイム

ミラノ・コルティナ五輪のスピードスケート会場。張り詰めた空気の中、氷を切り裂く鋭い音が響く。その中心に立つのは、日本スビードスケート史において最も完成されたアスリートの一人、高木美帆だ。

15歳で「スーパー中学生」と呼ばれた少女が、四度目の五輪を迎えた今、ミラノの氷上に16年の歩みを刻もうとしている。

「天オ」から「職人」ヘ

彗星のように現れた少女は、ソチ五輪落選という挫折を経て天才から“氷上の職人”へと変貌した。

平昌、北京とメダルを積み重ね、1500メートルの世界記録保持者となった今もなお、彼女の視線は記録やメダルの色だけではなく、「理想の滑り」そのものに向けられている。

無駄を削ぎ落とした低重心のフォーム、コーナーで遠心力に抗いながら加速する鋭いエッジワーク――それは、長年ひとつの道を追求してきた熟練の技術者が、極限まで無駄を省いた製品を作り上げる過程にも似ている。

高木が氷上で見せるのは、若さの勢いではなく、緻密な計算と鍛錬が生み出す「大人の強さ」だ。

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