難民一家の物語で異例のロングラン大ヒット! インド映画の常識を覆した『ツーリストファミリー』が支持された理由

言語表現に込められた制作陣の苦心

さて、この映画を成立させるカギとなっているのが「言語」です。映画の冒頭で説明が入るように、スリランカからやってきた一家と、比較的都会の南インドの住民たちとのカルチャーギャップを象徴するのに、難民一家が話すスリランカ・タミル語の古語が使われています。

方言で出自がバレないよう、なるべく会話は慎むようにと注意されていたのに、人懐っこい一家は、ご近所さんとコミュニケーションを取ってしまう。しかし、実際のインドの観客にまったく通じないとシャレにならないので、その塩梅には苦労したでしょうね。それにしても、ピンとこなさ過ぎる『ツーリストファミリー』というタイトル。「語らう家族」とか、言語を絡める邦題はどうでしょうか。

ところで、スリランカといえば紅茶。自分は紅茶好きで、スリランカを代表する紅茶の産地ヌワラエリアに行き、製茶・精製工場の模型まで買って帰りました。今も居間に飾っております。

その後、東京・青山の紅茶専門店で、紅茶ツウを気取ってヌワラエリアを注文したりしましたね。なんで、その店に1人で行ったのか、覚えてはいませんが…(笑)。

「週刊実話」2月19日号より

『ツーリストファミリー』
監督:アビシャン・ジーヴィント
出演:シャシクマール、シムラン、ミドゥン・ジェイ・シャンカル、カマレーシュ・ジャガン、ラメーシュ・ティラク、ヨーギ・バーブ
配給:SPACEBOX
2月6日(金)より、全国順次ロードショー

やくみつる

漫画家。新聞・雑誌に数多くの連載を持つ他、TV等のコメンテーターとしてもマルチに活躍。