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ワクチン神話崩壊…東京五輪で猛威を振るう“ハイブリッド”新変異株

(画像)Dean Drobot / shutterstock

英国の国家統計局は先ごろ、新型コロナウイルスの新規感染者が1週前に比べ、3分の2ほど増加していると発表した。

5月29日までの週に新たに感染した人の推計は約10万人と、その前週の6万人から大きく増加したのだ。これは英国全人口の660人に1人が感染したことになる。

マット・ハンコック英保健相は、英国に感染の第2波をもたらしたアルファ株(世界保健機関が命名=英国株)に比べると、変異株のデルタ株(同=インド株)は、感染力が40%強いとの推計を公表した。イングランド公衆衛生庁によると、現在は、インドで最初に確認されたデルタ株が主流となっているという。

「6月14日に英政府は、デルタ株の感染が広がっていることから、イングランドでのロックダウン(都市封鎖)の最終解除を1カ月程度遅らせると発表しました」(サイエンスライター)

日本だけでなく、世界から新型コロナとの闘いに勝利したと見られていた英国の雲行きが怪しくなってきた。それもこれも、英国では新規感染件数の最大75%がデルタ株に置き換わっているからに他ならない。日本でもアルファ株からデルタ株に置き換わるのは最早、時間の問題だ。

「デルタ株に感染した場合、重症化し入院が必要になるリスクが高い。今後、重症者、死者数も増えてくると見られます。事態はますます悪化してきました。ここで東京五輪を開催したら、変異株はエンドレスに続き、大変な事態となって世界は混迷を深めると思います」

と警鐘を鳴らすのは、公衆衛生が専門の医師で作家の外岡立人氏だ。

コロナ対策の優等生といわれた台湾でも…

「アルファ株はマスクをつけ、ソーシャルディスタンスを取ってさえいれば、何とか防げました。しかし、デルタ株は空中を漂い、エアロゾル感染を引き起こす。とりわけ、ベトナムで新たに発生したハイブリッド変異株は簡単にエアロゾル感染するとされます」(同)

日本国内で主流の英国株は、7月上旬にもインド株と比率が逆転すると専門家は見ている。さらに、ハイブリッド株という恐るべき変異株がベトナムで発生した。その最中に東京五輪を開催したらどうなるか。

「最悪のシナリオは、先ほど申し上げたベトナムで増えているハイブリッド株が日本に押し寄せてくることですよ。ハイブリッド株は英国型とインド型の両方の特徴を持ち、感染力は非常に強い。もし、東京五輪開催の際、最強のハイブリッド株が入ってきたら、取り返しのつかないことになります」(同)

ベトナムのロン保健相は政府の会合で「このウイルスはとても危険だ」と警告しているほど。翻ってデルタ株の発祥地であるインドはワクチン大国とされるが、人口(約14億人)が多いため、ワクチン接種率は決して高いとはいえない。人口100人当たり17.41回(6月10日時点)にすぎないのだ。英国は100人当たり103.49回と際立って高いのに比べると、まだまだ一般国民にまで行き渡っていないのが現状。ちなみに、日本は16.93回だ。

コロナ対策の優等生といわれた台湾で感染が急速に広がったのは、ある日突然、海外便パイロットがウイルスを持ち込んだためとされる。似たようなことは、世界各国から選手や大会関係者が来日する東京五輪でも起こり得るはず。

“東京五輪変異株”が生まれる可能性…

「実は、今年4月~5月に入国した東京五輪・パラリンピック関係者の1700人が特例措置として隔離措置を免除されて、日本入りしたのです。その中の1人が入国4日後の検査で陽性と確認された。幸い、空港検疫官など濃厚接触者には広がらなかったが、日本のやることはすべてにわたって脇が甘い。恐らく大会期間中、競技場に来る延べ310万人の大会関係者の中に、甘い検査の穴をすり抜けた陽性者が必ず出てくるはず。最も警戒しなければならないハイブリッド株の感染者がいたらどうなるか。五輪はパニックになるでしょう」(全国紙五輪担当記者)

東京都が6月11日に公表した試算によると、五輪期間中に来日する選手や関係者のうち、1日で7.7人の新型コロナ感染者が確認されるという。最大で入院患者は11.7人、宿泊療養者57.7人となっている。大会を通じては154人程度が感染すると見込んでいる。

菅首相は東京五輪開催に向け、切り札のワクチン接種を急ピッチで推し進めている。大半の日本人はワクチンさえ打てば、大丈夫というワクチン神話を抱いているのではないか。

「どんな変異株も感染力が強ければ水際を突破する。アルファ株とデルタ株のハイブリッド株は、優秀なベトナムの担当者が〝空気感染で広がるようだ〟とのコメントを出しているが、恐らくやすやすと水際を突破するのではないか。また、ワクチン接種は新型コロナに対して抵抗性を植え付けているが、ハイブリッド変異株に有効であるかどうかは分かりません。東京五輪開催で多くのウイルスが渦を巻くように関係者に感染し、その体内で増殖、『東京五輪変異株』となって日本から発信されるかもしれません」(前出・外岡氏)

次は『日本株』蔓延か。

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