「叢」なんて読む? 言葉にまつわる由来と豆知識【難読漢字よもやま話】


夏草は茂りやすい

正解は「くさむら」です。

【叢の語源と漢字の由来】

「叢(くさむら)」は、草が群がって生えている所、または草深い場所を指す言葉です。 

漢字の「叢」は、「取(しゅ)」の上に、「飾り」や「群がり」を意味するパーツが乗った形をしていますが、本来は「聚(あつまる)」という意味を持つ漢字と関連が深く、「物が群がり集まる」様子を表す会意兼形声文字です。

そこから、特に草木が密集している様子を指すようになりました。 和語の「くさむら」の語源は、「草(くさ)」に「群(むら)」が組み合わさった言葉です。

「むら」は、「群れ(むれ)」や「村(むら)」と同じ語源で、「集まっていること」や「塊(かたまり)」を意味します。

つまり、「草が一箇所に群がって生えている場所」という意味です。

【草のジャングル! 叢(くさむら)のトリビア】

●「天叢雲剣」
日本神話に登場する三種の神器の一つ、草薙剣(くさなぎのつるぎ)の別名は「天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)」です。これは、ヤマタノオロチの頭上に常に「雲が群がっていた(叢雲)」ことに由来します。

●「薮(やぶ)」との違い
「叢(くさむら)」が主に柔らかい草が密集している場所を指すのに対し、「薮(やぶ)」は、竹や低木など、より硬く背の高い植物が絡み合って茂っている場所を指します。

●医学用語「神経叢」
医学や解剖学では、神経が網の目のように複雑に交差・集合している部分を「神経叢(しんけいそう)」(例:太陽神経叢)と呼びます。「叢」の「集まる」という意味が使われています。

●「菌叢」はフローラ
腸内細菌の集まりを指す「腸内フローラ」は、医学用語では「腸内菌叢(ちょうないきんそう)」と書きます。細菌が草むらのように群生している様子を表しています。

●「叢」の訓読み
「叢」は「くさむら」のほかに、「むら(がる)」とも読みます。これは、草に限らず「群がり集まる」という動詞としての意味です。

●「論叢」
学者などの論文を集めて出版した書物を「論叢(ろんそう)」と呼びます。これは「論文の集まり」という意味で、学術的な出版物によく使われるタイトルです。

●隠れ場所の象徴
古典文学や物語において、「くさむら」は、虫が鳴く場所として風流に描かれる一方、妖怪や賊が潜む場所としても描かれ、「見通しのきかない場所」の象徴でもあります。

●「叢雨」
「叢雨(むらさめ)」と書くと、「群がって降る雨」、つまりにわか雨や激しい雨のことを指します。「村雨」と書くのが一般的ですが、この字も使われます。

●虫の音のステージ
秋になると、マツムシやスズムシなどの鳴く虫が集まる場所として、「叢」は俳句の秋の季語としても親しまれています。